富士山が噴火したら、横浜ではどんな被害がある?
ココがキニナル!
富士山が噴火したら、横浜市はどのような被害が出ることが予想されているのでしょうか。市ではどんな対策をしているのか知りたいです。(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市では降灰による被害が予想されている。10~30cmになる可能性もあり、市民の健康被害や社会的影響をできるだけ少なくする対策が検討されている。
ライター:吉田 忍
横浜市総務局危機管理室でお話を伺う
(続き)
●降灰による影響
【季節によって風向きが変わるため、火山灰の到達範囲は変わる。この図はすべての季節を重ねて描いているため、実際の降灰範囲は変わる場合がある】*神奈川県火山の防災対策ページより
横浜市では10~30cmの降灰が想定される。
では、降灰があるとどのような事が起きるのだろう。
火山灰は、主にマグマが発泡してできる細かいガラス片のようなもので、木や紙などを燃やしてできる灰とは成分も性質も異なる。
まず、身体への影響は、吸い込むことによる呼吸器系への影響や目を傷つけることなどが予想される。
交通への影響として、降灰により見通しが悪くなるだけでなく、道路にわずか5mm積もっただけでスリップなどの危険性があり、車の運転が困難になる。これにより道路の閉鎖も考えられる。道路だけではなく、鉄道についても、桜島がある鹿児島では5~10mmの降灰で鉄道が運転停止するという。首都圏の鉄道も停止する可能性がある。
家屋にも被害が及ぶ。降灰が30cm程度になると、堅固でない建物は倒壊の危険がある。
ほかにも、山などの斜面に火山灰が厚く積もり、そこに雨が降ると土石流が起こる可能性がある。また、河川に流れ込んだ火山灰により河床が上がる、流れをせき止めるといったことが考えられ、洪水を引き起こすこともある。宝永大噴火の際には、酒匂川がその後70年にもわたって土石流や洪水を引き起こしたという記録もある。
加えて、農作物への被害があるほか、火山灰が送電機器などに付着すると漏電し停電する可能性や、細かい灰による電子機器への影響も考えられる。
危機管理室のみなさん
富士山が噴火した際に取るべき行動
横浜市では、富士山(箱根などの火山をふくむ)が噴火した際に取るべき行動として、以下の事項をあげている。
・マスクを着用するなど、火山灰を吸い込まないようにする。
・火山灰が目に入ったら、手でこすらない。コンタクトレンズは避け、メガネを使う。
・長袖、長ズボンで皮膚を守る。
・火山灰により見通しが悪くなり、スリップしやすくなるので、交通事故に気を付ける。
・建物の中に灰を入れないようにする。
・横浜市の防災情報Eメールや、テレビ・ラジオなどで正しい情報を得る。
火山災害については、平成21年度に、横浜市が提案し、神奈川県と県内の3政令指定都市の4県市が防災危機管理対策推進協議会を作って検討していた。しかし、東日本大震災が起こり、地震や津波などについて新しい知見を基にした対策が火急に必要になったので、火山についてはひとまず後回しになっていた。現在、改めて火山についての検討をし直しているところだという。
また、富士山の噴火は広域に被害が及ぶため、最近、国が提言を出し、イニシアチブを取って協議会を持ち検討を進めている。
横浜市では、市民の健康被害に重点を置き、また、数センチといっても、膨大な量になる灰をどう処理するかという事や、優先して降灰を除去すべき道路の決定など、社会的影響をできるだけ小さくする対策をしっかり決めていくとのこと。
さらに「富士山噴火が起こった場合、広域に避難が必要になる。75万人が避難するとも言われている。横浜市は近隣の大都市として、受ける災害の対策だけではなく、避難民の受け入れもしっかり考えていかないといけない」と小野寺課長。
横浜市総務局危機管理室危機対処計画課長の小野寺さん
膨大な灰の最終処理、避難の受け入れなど検討課題は多い。富士山の噴火に関しては、実際に起こるまでわからない部分も大きいので、さまざまな角度からの検討も必要だとのこと。
取材を終えて
富士山はその美しい姿だけではなく、温泉や水など、多くの恵みを与えてくれている。しかし、それらは皆、火山活動によって生まれたもの。地底奥深くでは今もマグマが活動していることを忘れてはならない。
富士山もいつかは噴火する可能性があることを認識し、どのような事が起こり、どのような行動をすべきなのかを知っておくことはとても大切なことだろう。
火山災害にかかわらず、正しい情報を早く知ることが一番の防災対策。この機会に知っておいていただきたいので、冒頭で「横浜市防災情報Eメール」をご紹介した。繰り返すが、ぜひ登録されることをお勧めする。
― 終わり―
横浜市総務局危機管理室・火山災害について
http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/kazan/
神奈川県・火山の防災対策
http://www.pref.kanagawa.jp/sys/bousai/portal/1,3235,9,13.html
富士山火山防災マップ
http://www.pref.kanagawa.jp/sys/bousai/portal/resources/content/3235/fujimap.pdf
火山灰の健康影響(防災化学技術研究所)
http://dil-opac.bosai.go.jp/publication/pdf/health.pdf
気象庁・火山に関する情報や資料の解説
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kazan.html
Tosh.さん
2013年06月05日 17時49分
図が小さすぎて分かりにくい
SOKUさん
2013年06月05日 12時35分
2009年2月に浅間山の噴火で横浜でも降灰がありました。車のフロントガラスに薄っすらつもっており風向きによってはこんなところまで降灰があるんだと驚きました。富士山噴火で南関東は壊滅するというイメージがありましたが、宝永噴火クラスでも季節・風によっては降灰量に差がでるというのは意外でした。
れきおさん
2013年06月05日 11時58分
まあねえ、あれだけ美しい姿を見せてくれているということは、それを形成したパワーを秘めているということですからね。いかにして共存していくか、という。鹿児島先輩にいろいろ教わらなきゃいけませんね。