神奈川独自のわかりにくい路面標示「ともしびゾーン」って何?
ココがキニナル!
鳥山大橋から労災病院にかけての道路に、うっすらと「ともしびゾーン」と儚げな名前が。「交通弱者に注意しよう」という注意喚起のメッセージだが、なぜこんなわかりにくい名前?(オオバさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「ともしびゾーン」の名前は、ともに生きる福祉社会づくりを推進する神奈川県の施策、「ともしび運動」から取ったものだった
ライター:ムカイカツヲ
衝撃の事実
ともしびゾーンについて詳しくお話を伺うため、神奈川県警広報県民課の方に取材を申し込み、後日お話を伺うことができた。
海岸通りの神奈川県警本部
そして、しょっぱなに衝撃の事実が判明した。
「ともしびゾーン」は2006(平成18)年にすでに廃止されている、とのこと。
すでに廃止されていたとは・・・。
ともしびゾーンというは、神奈川県独自の路面表示。「交通弱者に注意しよう」というスローガン(交通安全のための標語)である。
国際障がい者年であった1981(昭和56)年、高齢者や障がい者といった交通弱者が安心して歩ける交通環境の構築を目指して 、交通弱者が集う可能性の高い病院などの施設周辺に設けられ、運転者の注意喚起をしようとした。
「ともしびゾーン」という名前は、1976(昭和51)年に始まった、福祉・教育・防災・安全などの事業を統合的に進めるための神奈川県の行政施策「ともしび運動」から取ったものだそうだ。
しかし、2006(平成18)年に廃止。それにともない、標識や路面表示なども順次撤去・消去されているとのこと。投稿にあった「ともしびゾーン」は、「まだ残っていた」まさに「風前のともしび」の路面表示だったのだ。
名前の由来がわかってなんとなくスッキリした。
神奈川県警のマスコット、ピーガルくんもはげましてくれた(ピーポくんではありません)
ともしびゾーン後の交通安全施策
ともしびゾーンが2006年に廃止されたのは、高齢者、障がい者などの移動の円滑化に関する法律「バリアフリー新法」の制定が関係している。スローガンで交通安全を呼びかけるよりも、より実効性の高い交通環境の整備を推進するほうが良いとの考えが生まれた。
交通弱者のために音が出る信号機を設置したり、必要に応じて青信号の時間を延長したりするような試みを行っているとのことだ。
また近年は、住宅地域等をゾーンとして区域設定し、抜け道利用や自動車の走行速度を30kmに抑制することで、歩行者等の安全を確保する「ゾーン30」運動も積極的に展開しているとのことだ。
取材を終えて
日本の道路システムは諸外国と比較してもシステマチックだし、交通インフラも充実している。また、今年の東京モーターショーを見ても、自動車メーカーが交通事故撲滅にかける情熱はすさまじい。もしかすると、将来的に交通事故が無い世界が来のるかもしれない。
そのためには、上述したようなソフト面での取り組みも重要だろうけど、「ゾーン30」のようなハード面での試みにも期待したいと思う。やはり、事故を防ぐには運転している人間が強い安全意識を持つことが一番良いのだから。
ウレタン製ポールの「ゾーン30」(神奈川県警察HPより)
そういう意味で、廃止決定後、消えそうになりながら健気に道路に残っている「ともしびゾーン」の表示は、無理やり消さないでいただきたいと思う。今回のキニナルの様に、その存在に気がついて関心を持つ人たちはいるからだ。
「ともしび」はまだ消えていない!
―終わり―
参考リンク
神奈川県社会福祉協議会HP かながわともしびセンター
神奈川県警HP ゾーン30について
萩原朔太郎さん
2017年07月10日 17時11分
昭和56年12月まで横浜市瀬谷区に住んでいました。当時小学4年生でしたが、急に近所にこの標識が設置されて子供心になんだろうと思いながら、その後市外へ転居、さらに県外、海外へ転居して、この「ともしびゾーン」について疑問に思ったことを忘れていました。36年ぶりに疑問が解決できて良かったです。ありがとうございます。
ウルバヌスさん
2016年09月05日 13時28分
本論とは逸れますが、「「ゾーン30」のようなハード面での試みにも期待したいと思う。」とありますが、ゾーン30は単なる面的な速度規制であり、ハンプや狭さくといった物理的デバイスを組み合わせた「コミュニティ・ゾーン」とは別物ではないでしょうか。ともしびゾーンは最近引っ越したばかりの近所(保土ケ谷区)にも路面標示は(うっすらと)残っていました。廃止されてしまったそうですが、当該区間は直線であり、30km/h規制にも関わらずけっこう飛ばしてらっしゃる方が目立ちます。住宅街ではスピード抑え目に走っていただきたいものです。
wasabi777さん
2015年09月30日 15時50分
標識もあったような気がします。黄色い背景に赤い火のような図柄だったのでは?。といっても昭和の時代の話ですが・・・。