高台と根岸湾を対に構える、工業地と住宅地の合わせ技な街。はま旅Vol.30「磯子編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第30回は、住宅ひしめく丘の高台と根岸湾に挟まれた何かと規模の大きな街、磯子駅。工業地と住宅地の合わせ技、そしてコアな名店やスポットを紹介。
ライター:クドー・シュンサク
磯子グルメ
以前、食事をするならここかなと磯子在住の知人から聞いた店へと駅をまたぎしばらく歩いて到着。
美味いと聞いた凰蘭さん
二十二年間この地で店を営む山下さん夫妻
15時をまわってもランチ営業中のありがたいお店。メニューもとにかく豊富。
安斎氏はこの時期にはめずらしい冷やし中華を。
私は店オリジナルの肉のオムライス風バーベキューソースごはんを注文。
冷やし中華。焼豚・蒸し鶏・ハムと、肉の三角締め。¥800
肉のオムライス風バーベキューソースごはん。ボリュームが鬼のパウンド。¥700
冷やし中華は王道の味付けながら、後引く酸味と甘みが程よく、焼豚がとんでもなく美味とのこと。
一口も安斎氏は分けてくれなかった。
オムライス風バーベキューソースごはん。初めて口にした味わいで、やわらかすぎずかたくない仕上がりの卵に、洋風と中華の折衷した甘めのソースで炒めた肉と野菜が得も言えぬ美味しさ。味わいがごはんに寄り添うすばらしい組み合わせだった。
とにかく美味い
ちょっとした魅力的なメニュー。呑みにも最高だと思われる。近所にほしい
噂に違わぬ隠れた名店の味。これは三ツ星ではないでしょうか。
磯子マニアックス
遅い昼食のせいか、陽も少しづつ傾いてきた磯子の街。
店を出て商店が並ぶ道を闊歩していると、芳醇なマニアック臭が漂う店を発見したので入ることにした。
いそご模型。ノスタルジーな外観
店主の田代公彦さん。模型一筋、七十二歳
三十五年間、主に鉄道模型専門店として磯子で店を構えるいそご模型。自身の模型好きが興じて店を始めたとのこと。
衰退する模型文化の中、根強い人気を誇るこの店には、日本全国の模型マニアが集まるという。
店内には、マニアックスな方々がありとあらゆる鉄道模型を静かに物色中。
その中には、模型マニアの一線から退いたが、未踏のこの店がどうしても気になっていたので足を運んでみたという方がいた。
元模型マニアだという横須賀さん。念願の初来店に笑み
ところせましと鉄道模型や関連グッズが並ぶ |
店主の田代さんは、体力的にも家庭的にも限界を感じ十年近く前から店を辞め引退する意向だったとのこと。しかし、毎日のように来る模型好きの人達にまだ辞めないでほしいと言われ続け、今日現在、この歳まで店をやっているという。
今後に関しても、もう長くはやるつもりないけど、引き止められちゃまだやるかもしれないと話してくれた。
それには、同業の専門店が根岸線沿いに三店舗ほどあったのだがここ数年でその三店舗はすべて閉店し、残っているのはここ、いそご模型だけという現実がまだ店を続けなくてはいけない原動力にもなっているという。
店内にある田代さんの作品群。他にも田代さんの作品がオブジェされている
店を出るともう陽は落ちかけていた。
最後に、教えてもらった公園に寄ることにし、磯子の街を大きく移動することにした。
春には桜の名所として名を馳せる久良岐(くらき)公園は、秋めいた木々と大きな自然に囲まれていた。
遊具広場にはちょっとしたアスレチックもあり、自由広場は、それこそ自由に野球やフットサルを楽しめる広さ。公園中央には大池もあり、休日は家族連れで賑わうとのこと。
散策していると陽も落ち、磯子の旅は終わることにした。
久良岐公園。能の舞台もあるという
展示されている市電の旧車両
旅を終えて
いくつもの顔を持つ磯子という街。
根岸湾を眺めようと立ち並ぶ高層住宅や工業地帯も存在し、丘の高台の住宅地は自然にもあふれている。
むやみやたらに商店が軒を連ねるでもなく、長年にわたり街と住民を支える店が点在。
数で勝負の利便性というよりも、シンプルにそぎ落とされた大きな街並み。
希有な魅力と特性が、ここ磯子にはあったような気がする。
■今回のはま旅「磯子」周辺
・「ヨコハマ八木淡水魚」 横浜市磯子区磯子3丁目2-13
・「いそご模型」 横浜市磯子区森1-12-7-103
・「日枝大神」 横浜市磯子区磯子4-3-11
・「凰蘭」 横浜市磯子区森1-15-12
― 終わり ―
divinoさん
2016年05月29日 00時50分
リピート記事はツイッター上にも日にちを入れないと誤解を生じます
本牧小太郎さん
2015年02月06日 13時40分
「凰蘭」は「鳳蘭」の誤りではないでしょうか?