湘南モノレールが2018年4月からPASMO導入! 導入の経緯とその先の戦略とは
ココがキニナル!
湘南モノレールがPASMO導入を決断したきっかけと狙いは?(うがろんばさん/タイサンさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
経営母体が変わったことを契機に、将来への投資として導入を決断。沿線の観光資源を活かすべく、バリアフリー化や沿線アピールも積極的に進めている
ライター:はまれぽ編集部
湘南江の島駅の大改造
ICカード導入を間近に控える湘南モノレール。このプロジェクトと並行して、進行中のバリアフリー化についても尾渡社長からお話を伺った。
湘南モノレールは高架を走るため、高架駅が多い。バリアフリー対応は重要な課題だ。尾渡社長が最も緊急性が高いと考えているのが、多くの観光客が利用する湘南江の島駅。現在駅ビル5階にあるホームまで、地上からエレベーターとエスカレーターで直行できる工事を進行中という。
大工事が進行中の湘南江の島駅
エレベーターは2018年4月1日から供用開始する計画で、また駅ビルのリニューアルも進めるとのことだ。これらは2020年の東京オリンピックに先立って、2018年と2019年に江の島で開催されるセーリングワールドカップシリーズに間に合わせるべく進められてきた(2018年大会は9月開催予定)。
「湘南モノレールが便利になれば、観光シーズンの渋滞や江ノ電の混雑緩和にも貢献できます。モノレールを使って、江の島、鎌倉エリアを周遊していただければと思っています」と尾渡社長。
湘南江の島駅は、江ノ電江ノ島駅から道路を渡って徒歩数分ほどの距離にあり、付近には神社仏閣や商店街もある。この乗換えルートを使えば、江ノ電沿線の観光地にも楽に移動できるし、逆に江ノ電沿線から湘南モノレール沿線へ足も伸ばせられる。
江ノ電江ノ島駅(右手)から湘南江の島駅(グレーの覆いがなされたビル)が見える近さ
大船から湘南江の島まで14分というアクセスのよさと他線との乗換えを活用して、江の島本島や鶴岡八幡宮周辺に集中しがちな観光客にも湘南モノレール沿線へ足を伸ばしてもらい、地域経済の活性化にもつなげられる。そんな可能性もこのモノレールは秘めている。
湘南モノレールならではの魅力
さらに湘南モノレールそのものも、観光資源としてのポテンシャルを持っているという。
尾渡社長は「列車がジェットコースターのように急勾配を登り降りする様子は、このモノレールならでは。ほぼ登山鉄道並みのアップダウンです」とエキサイティングな乗り心地を力説。巨大な橋脚がレールを支えている情景もフォトジェニックだ。また、沿線には神社仏閣や鎌倉中央公園・笛田公園などの緑豊かな公園、海辺に古戦場があるなど、観光資源には事欠かない。
車体をくねらせながらビルのすぐそばを走り抜ける。一般の鉄道では見られない光景
施設や列車を下から眺めるだけでもダイナミック!
道路をまたぐためハの字型につくられた迫力ある橋脚
実際に大船駅から湘南江の島駅までモノレールに乗ってみると、住宅や道路を眼下に走り抜けたり、トンネルで山を貫いたり、丘陵に沿ってアップダウンしたりと車窓から目が離せない。天気が良ければ富士山や海も望めるとのことで、全線わずか14分ながらみどころは盛りだくさんだ。
道路の上を空中散歩している気分
モノレールのトンネルは全国的にもきわめて珍しい。迫力満点
これだけのポテンシャルを持った湘南モノレールは、WEBマガジン『ソラdeブラーン』を展開して沿線の魅力をアピールするなど、積極的に乗客を呼び込もうとしている。そのきっかけとなったのは、2015年に三菱グループから「みちのりホールディングス」へと経営母体が変わったことにあった。
大船駅のきっぷうりばでも沿線の名所をアピール
攻勢に転じたモノレール
みちのりホールディングスは、東北や北関東のバスや私鉄を傘下に収め、先進的なサービスを実践してきた企業。運賃値下げによる乗客増加と増収(茨城交通)、独自のICカード「NORUKA」の導入(福島交通)といった実績を有している。地方交通経営のノウハウを十分に持った同社のもとで、湘南モノレールは経営改革に乗り出した。尾渡社長もこの時に総合商社から転職して社長に就任したとのことだ。
「実は、それまで湘南モノレールの存在を知りませんでした。しかし実際に乗ってみて、乗客を獲得できる伸びしろを感じたのです」と振り返る尾渡社長。「安全・正確な運行を基本としつつ、利用者目線で評価していただけるサービスを展開していかないと、ただ列車を走らせるだけでは利用者は減ってしまいます」との考えから2016(平成28)年の23年ぶりのダイヤ改正と列車増発、この2018年のICカード導入と新施策を実行してきた。
伸び悩んでいた輸送人員も着実に増加しつつあるそうだ
「観光客だけでなく地元の皆さんの足として、残していかなければならない鉄道だと思っています」と先を見据えて語る尾渡社長。ICカード導入や、江の島も会場に選ばれた2020年のオリンピックを追い風に、より地域に密着して親しまれる湘南モノレールになっていくことだろう。
こんなほのぼのする看板も。素朴さもあって応援したくなる鉄道だ
取材を終えて
路線自体は知っていたが、なかなか乗る機会がなかった湘南モノレール。今回の取材を通して、なんて楽しい鉄道なんだと魅了されてしまった。乗っても眺めても飽きない鉄道なので、湘南や鎌倉に出かけた際にはぜひモノレール沿線に足を伸ばして、その魅力を体感してみてほしい。
大船観音にも見守られて、今日も安全運行
―終わり―
アルミンさん
2018年03月25日 09時22分
深沢地区でショッピングモールなどの大規模再開発が進めば大ブレイクしそう!
soraさん
2018年03月24日 10時55分
千葉モノレールのような斬新なデザインの車両を導入してほしい。一部の床が透明になっていて 真下が見えるとか・・・。
古里さん
2018年03月24日 09時22分
2019年に御殿場線下曽我〜足柄間でTOIKAが使えるようになれば、県内の全駅でSuica、PASMOが使えるようになりますね。