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鎌倉市食べ歩き自粛条例施行後の小町通り・客観的レポート

ココがキニナル!

鎌倉市が食べ歩き自粛条例を可決しました。市の意図と、地域住民の考え、観光客の声、店側の本音(客が減る、営業妨害等)を取材お願いします(LA-CL3さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

今回のマナー向上条例は食べ歩きだけが対象ではない。罰則なしの「理念条例」であるところに、人気観光地としての微妙な立場が覗く。その微妙さを映すように、現地ではさまざまな意見が錯綜していた

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2019年04月30日

ライター:結城靖博

食べ歩きグルメ店以外の小町通りのお店の方々の意見はいかに?
 
さて、こうした状況の中、食べ歩きグルメ以外の小町通りのお店の方々は、今回の条例についてどう思っているのだろうか。老舗店を中心に取材をしてみた。
 
まずは、「創業明治6年」の看板が目を引く「富士洋傘」さんを訪ねる。
 


明治6年イコール1873年。つまり今年で146年になる老舗だ

 
気さくに取材に応じてくれた女性店長の塩原(しおばら)さんだったが、ゴミのポイ捨てに対しては厳しかった。閉店時にシャッターを下ろそうとすると、必ずと言っていいほど店先にゴミが散乱しているという。それどころか、どこかで買い求めた食べ残しのゴミを「捨ててくれないか」と店員に渡す人や、勝手に店内のゴミ箱にゴミを投げ捨てる人もいるという。もちろん、店頭に並ぶ商品に食べかすがつくこともあるそうだ。
 

 
店頭の折り畳み傘はすべて、丁寧にビニールで包まれていた

 
「でも、条例ができたからといって罰則があるわけでもないし、売る側・買う側の双方が気をつけるしかないものの、なかなか改善するのは難しいのではないか」との意見。
事実、施行後も店先のゴミの状況は変わらないという。
 

続いて、「のはら呉服店」を訪ねる。
 


店の前に「この場所での飲食はご遠慮下さい」の立て看板

 
和服などにまったく縁遠い筆者、敷居の高そうなガラス戸をおそるおそる開けると、店の奥に端正な着物に身を包み背筋をシャキッと伸ばした老婦人が立っていた。
思わず最初にお歳を訊いてしまった。すると、御年なんと99歳だという。創業80年になる呉服店の店主、野原喜美子(のはら・きみこ)さんであった。
食べ歩きについてお尋ねすると、上品な言葉づかいで、しっかりとしたお答えをいただいた。
「うちでは水物をお持ちの方は入店をお断りしています。でも、こういう店なので外国のお客様も多いのですが、どうしても外国の方は日本人と違って商品をすぐに触りたがるんですね。そのたびに反物が汚れないかと心配になります」
 


触りたくなる気持ちも理解できる美しさ。逆に畏れ多くて手は伸ばせないが

 
また、食べ歩きとは関係ない話だが、外国人の中には、一反の着物を注文の長さにカットしてくれという人も少なくないという。一反13メートルで一着の着物ができるので、途中でカットしたら残りの反物が売り物にならなくなる。だからそれはできないと言うのだが、なかなか納得してくれない人もいるようだ。
 


愛おしげに反物を撫ぜる野原さん

 
呉服店の次に訪ねたお店も、いかにも汚れた手で触られたら即刻台無しになってしまいそうな繊細な商品を扱っている、創業50年の老舗店だった。
だがその店からは、店名を出すことを拒まれてしまった。とはいえ、店主らしき人から印象的なお話を伺うことができた。
その店も食べ物を持った人の入店は断っているという。ところが、それを言うと外国人客はたいてい「オー、ソーリー」などと言って、嫌な顔も見せず素直に店を出ていくそうだ。ところが、日本の特に若い女の子たちは「なんでダメなの!?」と逆切れすることもあるらしい。
その店の店主曰く「私は外国人客のマナーよりも、日本の若い人たちのモラルの低下のほうがよっぽど問題だと思う」とのこと。
 
さらに訪れた店は「おもちゃのちょっぺ~」。駅側から小町通りに入ってすぐの左手。店頭のまさに頭上に「ウルトラマン」がドーンと飛び出しているので、目立つことこの上ないおもちゃ屋さんだ。
 


およそ古都鎌倉らしからぬ装飾だが・・・

 
実はここ、単なる観光地のお土産物雑貨店などではなく、なんと創業95年の老舗玩具店なのである。
外観も気を引く店構えだが、店内もマニアなら垂涎モノの玩具が所狭しと置かれていた。
 


小物玩具類が店先にあふれ出しそうなワクワク感に満ちた店頭

 


店内も昔懐かしのおもちゃがいっぱい

 


そしてお店自慢のウルトラマン・グッズ

 
しかもここは、小町商店会副会長の店でもあった。この日は副会長は不在で、すでに代替わりして代表取締役となっている息子さんの今晃浩(こん・あきひろ)さんが、取材に応じてくれた。
晃浩さんも商店会の青年部で活躍中。しかし、まずは店を営む者として、現状について具体的なお話を聞かせてもらうことにした。
この店で初めて聞くことができたのは「トンビ」問題だった。
今、鎌倉・江ノ島といった湘南エリアの観光地では、観光客の食べ物を空から狙うトンビによる被害も大きな問題になっている。
観光客自身の不注意による食べこぼしや故意のポイ捨ては意識次第で改善できても、空からの予期せぬトンビの襲来はなかなか防ぎようがない。不意に襲われびっくりして食べ物を手からすべらせたり、獲物を捕らえかけたトンビが地面に落としたり。そうして通りに散乱した食べ物をまた別のトンビが奪いにくる。そのたびに通りを清掃するのは、たまたま目の前に食べ物を落とされたお店の人だ。
 
「しかし」と晃浩さんは続ける。
「そういうデメリットの部分だけを強調したくはない。食べ歩きを楽しみに来てくれるお客さんもたくさんいるし、そのおかげで街に活気や潤いが生まれているのも事実なので、なんとかもう少しうまくバランスが取れないか、それを私たち商店会もしっかり考えていきたい」
商店会青年部としての締めの意見をいただいて、「ちょっぺ~」をあとにした。
 
 
 
商店街以外の地元住民の意見はどうか?
 
その後、小町通りを少し離れることにした。お店の人以外の地元住民の意見を聞きたかったからだが、小町通りの中では観光客か地元住民かなかなか見分けがつきにくい。
 
そこで、まずは鎌倉駅東口のバスロータリーに停留するバスの中から降りてきた、いかにも地元の利用客らしきご年配の男性に声をかけ、今回の条例について尋ねてみた。
すると、意外にも「知らない」というそっけない返事が返ってきた。食べ歩きについてどう思うか尋ねても、「それも特に関心がないな」と言って、そそくさと駅に向かって去っていってしまった。きっと、忙しかったのだろう。
 
続いて、若宮大路のベンチにたたずむ、上品な服装の老婦人に声をかけてみた。昨年米寿を迎えた鎌倉生まれ鎌倉育ち、生粋の鎌倉っ子の方であった。病院へ行くバスを待っているという。だが、その方も条例のことはよく知らないそうだ。食べ歩き自体、「そういうお若い方たちのすることはよく分かりません」とにこやか、かつあっさりと返されてしまった。
 
これはどうも、もう少し若い方に訊いた方が良いようだ。というわけで、東口駅前の東急ストアへ足を運び、入り口のベンチでスーパーの新聞折り込みチラシを熱心にみつめる初老のご婦人に声をかけてみた。すると、「条例施行のことは知っている」という。「あー、良かった」と、そこで安心していてはしょうがない。
で、どう思うか尋ねてみると、「大変難しい問題ですね」との答え。
「若い人たちが食べ歩きしたいという気持ちもよく分かる。少なくとも自分が食べ歩きしている人から迷惑を受けた覚えは一度もない。それにテレビで紹介されていたほど、あんなにたくさんの人が小町通りでふだん食べ歩きをしているとは思えない」
「市へのクレームには『みっともない』という意見が一番多かったそうですが」と振ると、「私は食べ歩きがみっともないと思ったことはない」という。
聞けば、その方は鎌倉に住んで18年になるという。
「まだまだ私なんか新人よ、ここでは」
どういう意味か尋ねると
「もっと昔からここに住んでいる人たちは、プライドが高いの。みっともないと思うのは、そういう人たちじゃないかしら」
 
条例ができるほどの問題なのだから、もう少し食べ歩きへの非難の声が聞けるかと思った。しかし、もちろん、たまたま話を聞いたわずかな人たちの声ではあるものの、意外に一般の街の人たちがこの問題に対して関心が薄いような印象を受けた。
 
「でも、ブティック店で服を汚されて困っているという話は聞いたことがあるわ」
鎌倉在住18年の方に最後にそう言われて、なるほどブティックかと思い、もう一度小町通りへきびすを返すことにした。
 
 
 
ふたたび小町通りへ
 
小町通りに戻り、ブティックを探す。そして何軒かの中でも、特に商品が通り沿いに多く吊るされた店、「鎌倉angel 5号店」さんにお邪魔した。
 


通りに並ぶ商品は、いかにも汚れた手で触られそうに見えるが・・・

 
しかし、店員の方に話を伺ってみると、現在、商店会で普及している、食べ物持ち込み禁止のステッカーが、けっこう効果を出しているという。
この掲示を無視してまで店内に入って来るようなお客さんはいないし、うっかり食べ物持参で入ってきても、注意すればすぐに出ていってくれるという。
また、今まで食べ歩きで被害を受けたことは一度もないそうだ。それゆえ条例施行の前も後も、特に営業に変わりはないと、さらっとした答えが返ってきた。
 
食べ歩きグルメ以外のお店の中でも、実にいろいろな意見があるものだと、あらためて思った。
 
 
 
取材を終えて
 
今回のレポートはここまで。
鎌倉市役所に話を聞いて、小町通りの現在の様子をざっと紹介して、主に食べ歩き店以外の小町通りの店舗取材を重点的に行い、街の人たちの声もちょっと取り上げ・・・おや?なにか肝心なものが抜けていないか。
そう、食べ歩きグルメ店そのものへの取材、そして食べ歩きを楽しむ人たちへの取材だ。
明日5月1日公開の記事では、筆者自身が食べ歩きを敢行しつつ、引き続き調査を進めていく。
  
とはいえ、ここまででも、この通称「食べ歩き自粛条例」、正しくは「鎌倉市公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」、そして鎌倉市の本音的には「食べ歩きについてはどうか気をつけてお願いします条例」を巡って、さまざまな立場のさまざまな意見が錯綜している様子が見て取れる。
少なくとも確かなことは、まだこの条例は施行されたばかりということ。これから少しずつ、変化が生まれていくにちがいない。次回はその点も含めて、レポートする。
 
 
―つづく―
 
 
取材協力

鎌倉市観光課
電話/0467-23-3000(代表)
鎌倉市HP/https://www.city.kamakura.kanagawa.jp
 
富士洋傘
住所/鎌倉市小町2-1-1
電話/0467-22-8262
営業時間/11:00~17:00
定休日/火曜日(9~3月) ※他の月は無休
 
のはら呉服店
住所/鎌倉市小町2-2-16
電話/0467-22-2953
 
おもちゃの ちょっぺ~
住所/鎌倉市小町1-6-11
電話/0467-22-3098
営業時間/9:30~19:00
定休日/年中無休
公式サイト/http://www.choppe.net/info.html

鎌倉angel 5号店
住所/鎌倉市小町2-8-1
電話/0467-40-6039

この記事どうだった?

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  • 「鎌倉は「食べ歩き禁止」ではない!」この記事を読んで、それを取り巻く環境まで、よくわかりました。また鎌倉で「食べ歩き」しようと思います!

  • ちょっぺ〜に行ってちょっぴ〜を後にしちゃいかんやろ

  • トンビが食べ物を狙って襲う事もあるからでは?

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