2019年「浜なし」品評会レポート!店頭には並ばない横浜ブランド梨とは?
ココがキニナル!
初めて食べて感動した幻の「浜なし」。そろそろシーズン到来ですが、「浜なし」の世界にも品評会があるそうで。今年はどんな梨が入賞!?編集部で梨の食べ比べレポートもお願いします!(スさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「浜なし」の品評会は毎年2回開催、入賞した梨は大きく形も味も抜群。入賞した「浜なし」は大きく甘い! 即売会の整理券を求めて朝から並ぶ人が多数だった
ライター:すがた もえ子
幻の梨「浜なし」を実食
今回のキニナルが「食べ比べ」ということだったので、PR用に整理券不要で販売された「浜なし」と、良好賞を獲得した「浜なし」を食べ比べてみることに。品種はどちらも「豊水」だ。
こちらがPR販売用の「浜なし」
PR用、といっても大きくてとても美味しそうに見えるが、良好賞の「浜なし」と並べてみると見た目から全然ちがう。
左がPR用、右が良好賞を獲得した「浜なし」
良好賞の「浜なし」は存在感がすごい! 実の1個1個が大きく、そして形も綺麗で、玉が揃っている。並べてみるとその差に驚かされる。
PR用の梨をカット
みずみずしい果汁が甘く、口の中にあふれていく。
しゃきしゃきしていて十分に美味しい
残念ながら糖度は書かれていなかったが、これがスーパーで売られていたら、甘さに驚くこと間違いないだろう。さすが食べごろになるギリギリまで樹の上で熟成させているだけある。
そしてこちらが良好賞に入賞した浜なし
皮を剥いている段階から、PR用とは実の張りの差を感じることができた。なんというか、実がパツンパツンで引き締まっているようなのだ。
あふれ出る果汁の量や歯ごたえ、舌触りが全然ちがう
さすが入賞した「浜なし」、みずみずしく、実ははちきれそうだ。今回購入できた良好賞の糖度は12.5度。歯を当てた瞬間にぱつんと実がはじけて、果汁が噴出してくる。味も香りも濃い。
同じ品種なのに、ここまで差がでるものなのかと正直驚いた。目をつぶって食べても、どちらの梨か瞬時にわかるレベルだ。
優勝農家さんに話を聞いた
2019年の持寄品評会の「浜なし」の部で優秀賞を獲得した、港北区にある豊田園の豊田勝美(とよだ・かつみ)さんにお話を伺うことができた。梨作りは勝美さんのお父さんの代からで、約60年前から。品評会にも勝美さんのお父さんの代から参加している。
豊田園の梨畑。品評会が終わると、梨の季節も終盤(写真提供:豊田園)
「今年は猛暑と天候不良で例年になく障害果が多く発生しましたが、その分販売できる梨は味が良いものができました」と勝美さん。2019年は天候の影響で、収穫できた梨は昨年よりも15~20%ほど少なかった。
優秀賞、神奈川県知事賞を獲得した豊田さんの「浜なし」
梨づくりで大変なのは、自然が相手なので、自分の力ではどうにもならない部分があるということ。優勝・入賞できるような立派な梨の玉を作れるかどうかは、タイミングと運も重要だという。
右から勝美さん、息子の真寬(まさひろ)さん、奥様の清美(きよみ)さん
「甘く育てるコツは予備枝や待ち枝、適切な施肥管理により光合成が活発に行われるようにすることで、玉を大きく育てるコツは適切な灌水と早期摘果を行うことです」と真寬さん。
2019年の持寄品評会には、3人の名前で3箱を出品。結果は優秀賞、良好賞、良好賞と、全ての箱が入賞した。
豊田園の直売所には、過去の品評会の賞状がズラリ
今回の賞状を見せてほしいとお願いしたが、品評会の賞状は翌年2月に授与されるので、当分先になるのだという。
梨のシーズンは毎年7月末~9月上旬まで。豊田園の梨はJAの直売か、豊田園の直売所で購入する事ができる。毎年6月~7月は電話での予約注文も可能だ。
豊田園直売所の前で
穏やかで仲のいいご家族で作る「浜なし」は、糖度13度以上と甘く、直売所でもすぐに売り切れてしまう人気。取材中も注文の電話や、近所の人が「次に販売するときは教えてほしい」と直売所を訪れていた。
取材を終えて
“幻の梨”ともいわれる横浜ブランド「浜なし」。2019年は例年よりも収穫数が少なくなってしまったが、収穫できた浜なしの味は良好だった。
「浜なし」は完熟させてから収穫するため、店頭に並んだ日が一番食べごろ。甘くて香り豊かで、一度食べると忘れられなくなる美味しさだった。
― 終わり ―
取材協力
JA横浜
https://ja-yokohama.or.jp/
豊田園
住所/横浜市港北区新吉田東3-27-2