事業費約1120億円の戸塚駅西口再開発事業は本当に成功したのか? 前編
ココがキニナル!
戸塚再開発について、地元でも評判がよろしくないように思われます。商店の方や利用している住民の方はどのように思っているんでしょう、生の声を取材してください(山下公園のカモメさん/yakisabazush
はまれぽ調査結果!
旭町通商店街からトツカーナに入店した店舗では不満の声が少なくない。特に地主から土地を借り店を経営していた借家人からの不満が多い。続きは後編で
ライター:小方 サダオ
パルソの入居者にお話を伺う
今回の再開発事業としてトツカーナとは異なった形式を取ったビル「パルソ」。戸塚パルソ振興会の栗田会長に、まずはトツカーナとの違いに関してお話を伺った。
「戸塚駅西口第1地区第二種市街地再開発事業では、地元の協議会があり行政側との調整を行いました。一般的な再開発の場合では地権者が土地を出し合い、トツカーナのような共同ビルを構築し入居します。しかし100名を超える協議会の会員の中から、また土地のない借家権者からも『共同ビルではなく土地で欲しい』という意見が多く出されました。そこで再開発事務所は、国土交通省と折衝や調整を10年ほど行ない、実現に至りました」
「個別活用方式」という画期的な試みを行ったパルソ
「パルソの『個別活用方式』は、個々の以前所有していた土地・建物を含む従前資産(建て替え前の資産)を従後の土地建物に等価交換するという形式です。そのため、各土地のオーナーはそこにビルを建て入居者を募るという形になります。トツカーナとくらべると、大型商業施設で行うイベントなどができにくい、というデメリットはあります。また各ビルオーナーは自己責任でビルの維持、テナントからのクレームに対処をする必要があります」と答えてくれた。
「土地で欲しい」という協議会の意見に答えたパルソ
そこでパルソに入居しているYさんに、まずはトツカーナとの違いについて伺った。
「トツカーナはテナントとして入り、家賃(もしくは買取)と管理費を払います。そしてトツカーナの管理会社の元で営業をします。パルソの場合も、テナントとして入り、家賃と管理費を払いますが、ビルのオーナーは地権者です。そのため普通の再開発とは異なり、パルソの個々の再開発エリアには個人地権者の名前が出るのです。またパルソには管理会社はいないので、ある程度自由度があり“住居兼商店”などの形式にできます」
パルソは土地が地権者のものだ
「しかし家賃に加えて、一定額を返済していく必要があります。それは一般的には従前資産を従後資産に等価交換するのですが、私たちの場合は等価にならなかったからです。私たちの店も以前は再開発の範囲内にありましたが、従前資産が開発前の昭和の古い建物で、それが開発後の我々が入る平成の新しいビルに変わった形になり、同じ価値ではないため等価交換にはならず、その差額を返済しなければならないのです」
「しかし事前の市の説明では『等価交換になりますので、一円も余計に払う必要はありません。だから開発させてください』という風に言っていました。開発後の説明で理解できましたが、最初に言ってほしかったです」とのこと。
再開発に関して伺うと「最初に再開発の話が来たのは1993(平成5)年ごろです。バブル経済の下りはじめのころでした。最初の計画では駅の目の前にバスセンターを持ってゆき、33階のタワーマンションに百貨店を入れる、などと言う計画でした。
1997(平成9)年ごろの計画図 戸塚(横浜市都市計画局戸塚駅周辺再開発事務所)
バブルのころは『土地が高いから売っちゃえ』と出ていく商店の人もいました。しかしどんどん計画が変わってゆきました。土地の価値も下がっていき、最初が100だとすると今では45程度の価値しかありません」
開発前の旭町通商店街の姿
「市街地の再開発事業には第1種と第2種の2種類があり、第2種事業は公共性・緊急性が著しく高い区域において行われます。西口の場合は、2種開発のため強制的な開発になります。私たちの場合も強制執行される、という3日前に判を押しました」とのこと。
納得のいかない点に関しては「私たち商店街側は、事前にバスセンターで乗客の乗り降りをさせるように要望していました。それはお店の前を通ってくる乗降客が寄ってくれることを期待したからです。しかし市は初めの1年はそうさせていたのですが、その後駅前で乗客を降ろさせるようにしたのです。それだと乗客はお店の前を通らずそのまま駅に入ってしまいます」
現在は駅のすぐ前がバスの降車場になっている
「また東急グループが一番いい場所を取ったことも納得いきません。商店街のころにはウィズというスーパーがありました。地元の商店街を尊重してくれるなら、ウィズに一番よい場所に持って行ってあげるべきではないでしょうか。しかし、よい場所を外部から来た東急プラザ内のスーパー、東急ストアに与え、ウィズをビルの端の方に配置したのです。ウィズは数年前に閉店してしまいました」
地下鉄とJR線の乗り場があり、地下は人通りが多い
トツカーナの地下1階
地下一階の東急プラザのスーパー・東急ストア
1・2階に比べて3・4階の人通りが少ない
「さらにある地権者には、土地を持っていなかったにもかかわらずトツカーナの中のよい場所で営業させる権利を与え、しかも、もともと持っていた土地でパルソの地権者にもなっていることが納得いきません」と答えてくれた。
入居者の話を伺っていると「再開発によって行政が駅前1等地を整備した結果、地元の商店街を冷遇する結果を生んだ」という印象を受けた。
後編ではトツカーナへ入居しなかった商店街の商店主たちの声や、実際に事業を行った横浜市や管理者に話を伺うことにする。
後編に続く
借家人であった入居者の方たちから厳しい声が多かったのは、地主や東急プラザのような大企業をひいきしたような結果となったからであろう。
駅前再開発に関してインターネットで調べると、行政主導ではなく、商店街の地権者が中心となった民間主導で成功したとする「香川県の高松丸亀町商店街」のような例が注目されていることが分かった。
戸塚駅西口の1日約27万人(2004<平成16>年統計)にのぼるという駅の乗降客などのための、2種開発という緊急性を伴う、この戸塚駅西口の開発の場合にもそれが応用できたのかは疑問だ。
市は「地権者・大企業・市民」と「借家人を主とした商店街の人たち」をはかりにかけた時に、前者側に傾いた、ということなのだろうか?
―終わり―
ちゃにゃ~さん
2016年11月27日 08時54分
80年代にこの町に住みましたが、戸塚駅前は日立製作所の大規模工場が立ち並び、日立の城下町の意味合いが高かった。事業再編により、日立の工場も移転してしまい商店街にとってドル箱の大口の顧客がいなくなってしまった。バブル時期からは日立の事業所は手狭な戸塚から隣の東戸塚などに、どんどん移転してしまい戸塚の空洞化に拍車を掛けた。高低差の多い戸塚や東戸塚は、やはり住みづらいと感じる。この高低差が地域発展の妨げになっていると感じた。
よこはまいちばんさん
2015年07月13日 11時58分
デパートが無いのが一番のデメリット!のご意見に「そう思わない」が圧倒的多数ってのが理解出来ないな~!日常的に百貨店へ行くことが出来ない程に低所得が多数を占めているのかも知れないが、時代が変わってもヤッパリ繁栄している地区には百貨店は付き物。東口も百貨店ではない丸井が途中で退店したのも百貨店ではなかったので魅力薄だったに違いない。今では西武百貨店が立地する東戸塚の方が開発・発展目覚ましい。将来的には横浜環状鉄道も東戸塚に接続する予定だし、戸塚区の表限界が戸塚駅ではなく東戸塚駅になる可能性だってゼロではないのかも!百貨店なき街は発展もし切れないし、街のランクも保てない。商圏的に東戸塚と戸塚の隣接両駅に百貨店は厳しいが、絶対欲しい施設と思うのだが・・・
トレジャーさん
2015年03月10日 05時17分
戸塚駅と大船駅の中間地点に住んでいますが活気のある商店街がある大船駅周辺の方が魅力的です。