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西区藤棚商店街にある「日本一小さい」フィルム上映の映画館に突撃!

ココがキニナル!

藤棚商店街にできた客席28席、バーを併設した映画館「シネノマヴェチェント」。基本的にフィルムでしか放映しない、そのこだわりを聞いてきて(miyukidさん、5656さん、yakisabazushiさん

はまれぽ調査結果!

28席の映画館では、幅広いジャンルの映画を16ミリ、35ミリフィルムだけでなくDVDでも上映。毎週末に映画関連イベントを開催し、商店街とのコラボも

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ライター:大和田 敏子

どんな映画を上映している?



「フィルムは、投影されている残像を見るもの。そこに行間があり、イマジネーションを与える余地がある」と箕輪さんはデジタルとの違いを語る。
 


「フィルムの傷や痛みにも愛しさを感じる」と箕輪さんは言う
 

フィルム上映を中心にしたい気持ちもあるが、それでは新しいものを退けることになってしまうと、DVDでの上映も行っている。
 


壁にあるのは箕輪さん好みの映画のポスター
 

上映作品はB級アクションやホラー映画が多く、「ゴジラシリーズ」など特撮映画も定番のひとつだ。けれども、懐かしい名作アニメシリーズだったり、フィルムノワール傑作選だったり、ジャンルは幅広く、新人クリエーターの作品などの持ち込み企画も少なくない。

「好きでも嫌いでも、金銭的に折り合いがつく映画を上映する。そこから、いろいろなものが生まれてくることも面白い」と箕輪さんは言う。

たとえば、横浜出身で富山在住の市川徹(いちかわ・とおる)監督の『獅子舞ボーイズ』の上映をきっかけに、同館で10月に実現した富山映画祭。その中で上映した『魚津のパン屋さん』は2015年で一番多くの観客を集める作品となったという。
 


富山に縁のある方などが多く観に来たよう(提供:タカオカンドリーム)
 

一方で、自ら配給権を取った映画も上映する。現在までに『ファイナル・オプション』(1982年/2016年1月にシネマノヴェチェントでの上映は終了)と『恐るべき相互殺人』(1974年)を上映。いずれも1年間の配給権で独占上映した。
 


こちらは、2016年4月まで上映(提供:シネマノヴェチェント)
 

今後も自社配給は続けていく予定だ。

6月からは『オン・ザ・ロード』(1982年)を上映予定。『相棒』シリーズで知られる和泉聖治(いずみせいじ)監督の一般映画デビュー作品だが、その後、35ミリプリントがジャンク(廃品)され、DVD化の予定もないとのこと。そこで、35ミリニュープリント(もともと35ミリフィルムで撮影したものを、新たに35ミリフィルムで現像したもの)で半年間のリバイバルを決めた。
 


渡辺裕之(わたなべ・ひろゆき)の主演デビュー作の青春ロードムービー
(C)ヒューマックスシネマ
 

「このままだと忘れ去られてしまうような日本映画を掘り起こしていきたい。やれるのは今しかないと思う」と箕輪さんは意欲的だ。

取材当日の上映は、Vシネマの渋谷正一(しぶや・しょういち)監督特集。

『孤独の仁義』(2013年)鑑賞後の女性のお客さんに話を伺った。
「監督と知り合いだが、作品を観たことがなかったので、スクリーン上映されると知って来館した。映画はDVDよりも、映画館で上映されたものを観たいので、シネマノヴェチェントのような存在は貴重」と話してくれた。

余談だが、渋谷監督は、野毛の都橋近くのバー「喫茶みなと」のマスターでもある。
 


 

昭和レトロな雰囲気の「喫茶みなと」
 

撮影には野毛周辺がよく使われているそうだ。そうしたロケ地を見る楽しみもありそうでキニナった。
 


都橋商店街。このあたり、よくロケに使われているとか
 

映画によって客層は異なり、1日に数人しか客が来ない日もあるというが、特撮ものなど、ここでしか観られない映画には、遠方から来るお客さんも少なくないという。常連客は40代~60代くらいの男性がほとんどだそうだ。



トークイベントや懇親会が熱い!?



シネマノヴェチェントでは、上映映画に関連した映画監督や俳優を招いたトークショー、関連したテーマでのイベントが、ほぼ毎週末行われている。
 


柳島克己(やなぎじま・かつみ)撮影監督と加藤雄大(かとう・ゆうだい)撮影監督(右)
 

こちらは、2015(平成27)年3月、映画のフィルムからデジタル化についての検証がテーマの『サイド・バイ・サイド』(2012年)の上映に合わせて、日本を代表する撮影監督を招いて行ったもの。

トークショー後などの懇親会では、深夜まで盛り上がることも少なくないそう。一つの映画をきっかけに、語り合う楽しさは格別に違いない。

海洋ネイチャードキュメンタリー『オーシャンズ』(2009年)上映後には、日本トロール底魚協会の秋本真彦(あきもと・まさひこ)さんを特別ゲストにクジラ食の魅力を伺った後、藤棚商店街の「濱のくじら屋」さんのクジラ料理を食べながら懇親会を行った。以降、イベントの際に同店の料理を出すことも多いという。
 


イベントや懇親会では地元商店街とも積極的にコラボしている
 

「濱のくじら屋」店主の齋藤光央(さいとう・みつお)さんは、「中華風、イタリアンなど、普段お店では出さないような形で料理を提供している。今後、捕鯨に関する映画『ビハインド・ザ・コーヴ』(2015年)も上映してもらい、その後でクジラ料理をおいしく食べていただき、クジラを広めることができればと思う。互いに活性化できるように付き合っていきたい」と話してくれた。
 


「濱のくじら屋」の普段のメニュー。竜田揚げ定食とくじらユッケ
 

「ゴジラシリーズ」映画上映の際にコラボしているのが、やはり藤棚商店街の「今井かまぼこ」さん。
 


イベント時に作った「ゴジラの背びれ揚げ」
 

火を噴く辛さのA4サイズの巨大さつま揚げだそう。
店主の今井宏之(いまい・ひろゆき)さんは、「全国でもめずらしい貴重な映画館だと思う。商店街をあげて応援していきたい!」と話してくれた。

今後について、箕輪さんは「映画を制作上映して、発信していきたい。商店街の活性化や横浜の観光誘致、アピールにつなげていけたらと思っています」と話す。
シネマノヴェチェント発の映画が、今から楽しみだ!



取材を終えて


シネマノヴェチェントは、映画を深く愛する箕輪さんの思いがつまった映画館だ。けれども、それだけではない。一つの映画をきっかけに語り合う楽しさ、未知のジャンルの映画に触れる喜びがここにはあると思う。
これから先、どんな映画館になっていくのか、とても楽しみだ。
―終わり―

取材協力
シネマノヴェチェント
住所/横浜市西区中央2-1-8 岩崎ビル2F 
電話/045-548-8712

濱のくじら屋
住所/横浜市西区久保町21-21 サンハウス101
電話番号/045-315-5799
営業時間/12:00~14:00、17:00~21:00(土日祝日は12:00~21:00)
定休日/水曜日

今井かまぼこ
住所/横浜市西区中央2-5-13
電話番号/045-321-7876
営業時間/10:00~19:00
定休日/日曜日
 

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  • お父さんと映画の好みが合ってそうなので、早速お知らせしよう。

  • ニッチな映画館ですね。横浜はミニシアターが多い町ですが最近は随分減ってきました。繁華街からはなれた藤棚にこのような映画館が出来るのはうれしいことです。

  • 三度のメシよりも映画が好きな人が映画館をはじめたら、こうなりましたという感じがとてもいいです。ずっと残ってほしいです。

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