鎌倉市内の野菜直売所「鎌倉農協連即売所(レンバイ)」などを調査!
ココがキニナル!
鎌倉にたくさん農産物直売所があるようですが、主要な直売所を紹介してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鎌倉には農産物直売所が10ヶ所あり、農家が自作の野菜を販売している。今回はその中でも、複数件の農家が一同に集う「鎌倉農協連即売所」と飲食コーナーも併設する「かん太村」を紹介。
ライター:福田 優美
4日後、プロの仕入れを見学するため朝早くレンバイへ
「感じてください、季節の野菜」
仕入れ目的のプロから話を聞くために、8時前にレンバイを訪れる。前回はご近所さんっぽい軽装の女性が多かったが、この日は、明らかに料理人と思われる大量購入の人や、エプロンや店名の入ったTシャツを来ている人が多かった。各店の農家さんとじっくり話をしながら、購入するものを決めていた男性に声をかける。
小町2丁目の鎌倉和食「楠の木」の中島(なかしま)さん
―仕入れですか?
「そうです。自分が野菜の仕入れを一任されているのでほぼ毎朝来てます。季節感を大事にしている和食店なので、旬のものを主に買います」
もう一人、人参を大量に購入する外国人にも、同じように仕入れか声をかけてみた。
「はい、毎朝来てます。フランスのマルシェのようで、毎朝新鮮な野菜を買えるのでうれしいです」と話してくれた。この方は、御成町で仏レストラン「レネ」を経営するアントニ・レネさんだった。
売り切れてしまうのではと思うくらい大量の人参を購入
インカムで話しながら大量の野菜を購入していく人、10個以上も大玉のスイカを買っていく人、トマトを両手の袋に持てるだけ買っていく人など、ひっきりなしに料理人と思われる人が出入りしている。自転車が倒れそうなほど山盛りの空芯菜を買っていく人が数人いたので声をかけると、いずれも由比ヶ浜の海の家「タイ村」に出店しているタイレストランの方だった。
空芯菜を山ほど買う、タイレストランのシェフ
この日はレンバイに昼過ぎまでいたが、時間の経過とともに客層はプロの方から近所の方へ移り、午後になると観光客が増えるという印象だった。鎌倉のほかの直売所も気になるので、鎌倉市が出しているかまくら直売所マップにある、かんた村に取材申請をした。代表者が多忙のため、少し時間があいたが9月末に取材がかなった。
9月末、関谷にあるかん太村を取材
大船駅から市バスで向かうという手もあったが、今回は車で現地へ。国道132号線沿いのカラフルな看板が目を引く場所がかん太村だ。
鎌倉市関谷にあるかんた村
敷地内に入ると、野菜の直売コーナーと、お弁当やコーヒーなどを販売するコーナーがあった。出迎えてくれたのはかん太村を運営する株式会社リーフの代表、田村慎平(たむらしんぺい)さん。レンバイの代表、平井さんにも怖気付いたがこちらもかなり眼光が鋭い。おそるおそる、かん太村を始めた経緯を聞いてみた。
強面とチャーミングなTシャツのギャップに萌える
「もともと新宿でバーをしたり、報道カメラマンをしたりといろんなことをやってたんだけど、知人が畑仕事を始めて、それを手伝ううちに農業のおもしろさに気づいたんです。農業って、野菜づくりだけじゃなくて、地域のコミュニティや文化を作ってきた奥深いもの。これを絶やしちゃいけないと思ったのがきっかけです」
一人の人生とは思えないほど多様な生き方をしてきた田村さん。眼光の鋭さは真剣に生きている人特有のものなのだろう。ひとくちに農家といっても、いろいろな人がいるもんだなぁと感じた。
地域の人が気軽に集まる場にしたいという願いを込めて
―かん太村という名前はどこからとったんですか?
「昔、この辺り(関谷・城廻地区)の農家には『ケンカ蜘蛛』といって蜘蛛同士を戦わせる遊びがあったんだけど、そこでいちばん強い蜘蛛を『ハチマキかん太』と呼んでいたらしく、そこから名付けました」
よその地域ではあまり知られていないその土地特有の文化。これこそ田村さんが農業とともに広げていきたいものの一つだという。かん太村では夏祭りを開催するなど地域のコミュニティの場にもなっている。
あいにく取材日は、端境期(はざかいき)といって夏野菜が終わり、冬野菜が始まるまでの間の作物がとれない時期。とはいえ、例年なら少しは並ぶそうだが、この日は台風の影響でふだん野菜がならぶ棚は空だった。
この日はあいにく野菜はなし
ちょうどお腹も空いてきた頃だったので、お弁当をいただくことにした。どれも惹かれるが一番人気のかん太カレー(600円)にした。鎌倉市の指定福祉事業所「りっしん洞」が運営するカフェのコーヒー(300円)も一緒にいただいた。
りっしん洞ではスペシャルティコーヒーの豆のみを使用している
ものすごく丁寧に淹れてくれて、コーヒーの香りが立つ
旬の野菜が山盛り。野菜は季節ごとに変わる
野菜はどれも甘みが強く食べ応えがあったが、中でも人参やさつまいもなど根菜類の甘みが格別だった。スパイスが効いたカレーはちょい辛で、野菜の甘みが一層際立つ。生産者の顔が見えることで、食べ物への感謝の念があがることを知った。
1日4、5件の農家が出店するレンバイは、お店ごとの違いを見て回るおもしろさがある。トマトひとつとっても品種が多数あり、一般的なトマトでも露地栽培かハウス栽培かという違いがある。それぞれの農家の特徴を知って買い分けられるようになると、ツウっぽいのではなかろうか。
一方、かん太村は地域のコミュニティーを目指しているということで、野菜の販売に加え夏祭りや防災訓練の開催、また不定期で流しそうめんや芋掘りなどのイベントも行なっている。同じ直売所といってもずいぶん趣向が違うことがわかったので、ほかの直売所も行ってみたいと思った。
取材を終えて
今の時代どんなものを買うにも、生産者から直接買うということはほとんどない。そんな時代だからこそ、各地で直売所が受け入れられているのだろう。生産者の顔が見えるというのは、こと「食」の場合、すごく安心につながると感じた取材だった。
-終わり-
取材協力
鎌倉農協連即売所
住所/鎌倉市小町1-13-10
http://kamakurarenbai.com/index.html
鎌倉野菜市場 かん太村
住所/鎌倉市関谷685-1
電話/0467-47-7475
営業時間/10:00~17:00
定休日/水曜
https://www.kamakuraleaf.com/philosophy/kanta-village/