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襲い来るスギ花粉! 神奈川県の「元を絶つ」作戦の成果は?

ココがキニナル!

今年の花粉はかなりの量になるとのこと。県内のスギそのものに対する対策はどうなってる?(はまれぽ編集部のキニナル)

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ライター:はまれぽ編集部

た、たすけてくれ~!
・・・と叫びだしそうなほどの花粉が横浜市内を襲う今日この頃、みなさんいかがお過ごしだろうか。

2018(平成30)年の花粉は過去20年で見てもトップ5に入る多さらしい。すでに目のかゆみや鼻水は最高潮だが、花粉の猛威はこれからが本番といえる。

 


にわかには信じたくない(神奈川県発表資料)

 
花粉症は完全に人体のバグだ。なんで植物の花粉で人間が苦しまなければいけないのか。薬局では花粉症対策グッズも続々登場しており、科学の力でこの苦しみを乗り越えようとする人類の気概を感じる。
 


新技術で乗り切れるか?

 
 
  
スギをどうにかできないか

一方で、ふつふつと湧いてくるのが「元を絶ちたい」という熱い思い。森林地帯のスギをなくせば花粉症ともおさらばのはず。

スギを切り倒すツアーがあるなら志願してもいい(花粉がない時期限定)という思いで、神奈川県環境農政局緑政部森林再生課に対策状況を確認した。
 


罪はなくても憎しみが湧いてくる(写真はフリー素材)

 
実は、神奈川県では花粉発生源であるスギへの対策をこれまでも行ってきたのだという。担当者によれば、「スギをすべてなくしてほしい、という極端な意見が寄せられることもあります」とのこと。
しかし、「スギも含めた森林環境は、ゲリラ豪雨などによる災害の防止や生物多様性の保持など、さまざまな機能を果たしています。神奈川県では、そうした森林の果たす役割も考えながら、バランスよくスギの植え替えなどを進めています」という。
 


森林は生活から簡単には切り離せない(過去記事より)

 
神奈川県は2000(平成12)年に花粉の少ない「少花粉スギ」、2009(平成21)年には花粉の出ない「無花粉スギ」の生産を開始。既存のスギ林を伐採してこれらの品種に入れ替える植え替えや、スギの一部を広葉樹に植え替える「針広混交林化」に取り組んでいる。

無花粉スギの生産数は2013(平成25)年度には年間980本だったが、3年後の2016(平成28)年度には3887本と、順調に数を伸ばしている。
2018年3月までの2017(平成29)年度は、さらに生産数が増える見込みだ。
 


いま植えられているスギ苗木は、すべて花粉が少ないスギだ(林野庁HPより)

 
すでに花粉をまき散らすスギは伐採が進んでいたのだ。
けれど、進捗状況は歯がゆい部分もある。

神奈川県は周辺の自治体(九都県市)とも協力して、2017年度末までに、一定の面積で混交林化と植え替えを進めるという目標を設定。混交林化は目標を達成しているが、植え替えは6割程度にとどまる見込みで、対策は道半ばだ。
 


混交林化は順調に進んでいるが・・・(神奈川県HPより)

 
森林再生課によれば「以前と比べて木材の売却価格が低い中で、管理が大変な無花粉スギの経費がまかなえない事情があります。神奈川県では県営林でお手本としての植え替えを行い、私有林所有者の理解を得られるよう、支援の取り組みを進めています」とのこと。

無花粉スギを増やすときは、このスギの雌花と「花粉が少ないスギの花粉」を受粉させて種を作る。その苗は半分が無花粉で半分は花粉が少ないものになるという。そのため植樹の前に選別が必要になるなど、手間が掛かっているのだ。
 


日本の林業が抱える根本的な課題がある(フリー素材)

 
 
 
敵はスギだけではない!?

神奈川県のスギ花粉対策は、数値上は一定の成果をあげつつある。


県が発表した、事業による花粉の削減量

 
花粉は県外からも多く飛散しているため、神奈川県の取り組み成果としては実感しにくいが、地道な植え替えは徐々に花粉の量を減らしているようだ。

一方で、スギだけを敵視している場合でもない。最近の研究では、スギ花粉アレルギーを持つ人の多くが「ヒノキ」の花粉にも反応することが分かっているんだとか。ヒノキはスギよりも1ヶ月ほど飛散時期が遅く、花粉症が長引く原因になる。
 


ヒノキにも心を許せなかった(フリー素材)

 
神奈川県は現在、2018年4月からはじまる新たな花粉症対策の10年計画を策定中。ここでは全国に先駆けて「ヒノキ」への対策も盛り込まれるなど、一歩進んだものになる予定だ。

「神奈川県は2013年に全国で初めて『無花粉ヒノキ』を発見し、生産体制の整備を進めています」と県担当者。さらに、黒岩祐治(くろいわ・ゆうじ)県知事は無花粉ヒノキの苗木を首都圏の各自治体に提供し、花粉症対策の取り組みを広げていくよう呼びかけている。

国でも植え替えのしやすい無花粉スギ・ヒノキの開発を行うなど、さまざまな対策が進みつつある。「花粉の元を絶つ」作戦、今後の取り組みに注目したいところだ。
 


国も新兵器を送り出している(林野庁HPより)

 
 
 

取材を終えて



スギの花粉は自治体の境界など関係なしに飛んでくる。スギ林を管轄するそれぞれの都県や市町村が協力することで、一日も早くスギの花粉を減らしてもらいたい。神奈川県の新たな対策計画は3月末までに公表されるとのことなので、こちらも期待大だ。

それまでは当面、新しい花粉対策グッズを順番に試して急場をしのごうと思う。どれが効くのかな・・・。
 
 
ー終わりー
 
 

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