高さ1.5メートル、横須賀の低すぎるガード下とは?
ココがキニナル!
ストリートビューで京急のガード下見ていたら、高さが1.5mというガード下を見つけました! もしかしたらもっと低いガードがあるかもしれません。キニナルので是非現地調査を!(横濱マリーさん)
はまれぽ調査結果!
現在の道路法制定前に鉄道が開通し、低いガードがある。1.5メートルの小山田開渠(かいきょ)は、横須賀市内だけでなく京急線でも最も低い可能性あり
ライター:山口 愛愛
なぜ横須賀に低いガードがある?
キニナルことが多いので、この地域の道路管理者である横須賀市土木部道路維持課に低すぎるガードの真相を伺った。
同課の鈴木栄一郎(すずき・えいいちろう)課長と、同維持補修係の桑原巧(くわばら・たくみ)係長に質問をぶつける。
鈴木さん(右)と桑原さんが資料を用意してくれた
まずは、鉄道が通るガードの規定の高さを確認すると「道路が交差するときの高さなどは細かい規定があり、道路法の道路構造令に基づいて、設定しています」と鈴木さん。
「道路と交差する形で線路が通るときは、鉄道会社から申し入れがあり、道路法に基づいて協議後、ガードが造られます。道路法では道路に必要な空間の高さは、歩道で2.5メートル、車道で4.5メートルと定められていますが、道路状況などによって特例の縮小規定があり、車道でも高さ3メートルまでは特別に造ることができます」とのこと。
投稿のガードは、市道上にあるため道路管理者は横須賀市になるが、造られた経緯などは古い話のため資料などなく、分からないとのことだった。しかし、一般的にガードを造る場合は、鉄道会社から道路管理者に話があり、道路法に基づいて、道路管理者が高さを確認して許可を出しているようである。
道路維持課が担当
高さの表記については、「横断勾配の上がっている部分、つまり道路幅の一番高いところで4.5メートル確保できているか計測しています」とのこと。
道幅の高いところで計測する
「標識は高さ1.5メートルとなっていましたが、実際はもう少し高いようでした」と伝えると、「車が通行した場合など、バウンドしたときなどにぶつかる可能性があるので、高さ制限はある程度、余裕高をもっているんですよ」と桑原さん。
道路管理者が設置している標識。実際は表示より少し余裕がある
続いて、鈴木さんが投稿のガードについて「あのガードは小山田開渠(おやまだかいきょ)といい、高さ制限は1.5メートルですが、実際の舗装面から構造物までの高さは1.8~1.95メートルになります」と説明してくれた。
では、なぜ投稿のガードは道路法の制限より極端に低いのか伺ったところ「今の道路法は1952(昭和27)年にできていますが、京急本線は現在の道路法ができる前の1930(昭和5)年に開通しており、旧法に基づいているため、3メートル以下のガードも多く残っているんです」と納得の回答。もちろん、これから造られるガードは3メートル以上になるわけだ。
1.5メートルのガードについて、周辺住民から問合せなどあるか伺うと「知っている限りでは、これまでにガードが低すぎて問題が起こったことも、住人からクレームがきたこともない」そうだ。
通行する分には支障はなさそうだ
さらに、桑原さんが補足する。
「横須賀はトンネルが多いといわれ、あの場所は山と山の間を抜けるところで、融通が利かず、あのくらいの高さにしかできなかったのではないでしょうか。土盛りや背の高い高架は工事費用がかかることも影響したと思われます」
ガードが低い理由は、横須賀の独特な地形も関係するようだ。横須賀はリアス式海岸が多く見られ、京急は内陸の山側を通っている。あのあたりは谷戸の地域で、わずかな住宅が山に囲まれており、その入り口にガードがある地形となっている。地図で見ても高架をくぐらなければいけない住民は少ないようだ。
横須賀には海からすぐ山になり谷戸が入り組む地域が見られる(Googlemapより)
「交通量が少ないので、低くても問題ないという判断もあったかもしれませんね」と桑原さんが推測する。
山間で緑が多く残る地域だった
小山田開渠は低いのか?
では、もうひとつのキニナル質問を。「横須賀市内にあのガードより低いガードは存在しますか?」
鈴木さんが手元の資料で確認してくれたところ、「調べてみると、横須賀市内に3メートル以下のガード下は、確認できた範囲で14ヶ所あります」とのことだった。
安浦町2丁目にある2.8メートルの道見木架道橋(どうみきかどうきょう)や、大津町1丁目の2メートルの原函渠(はらかんきょ)などがあり、2メートル以下のガードは6ヶ所あった。その中にはJR線のガードも2ヶ所該当し、ともに高さ1.8メートルだった。
それでは、現状確認できた範囲での横須賀市内にある低すぎるガードベスト3を発表しよう。
第3位は、浄蓮寺開渠(じょうれんじかいきょ:三春町1-35先)の1.7メートル。
京急線県立大学駅から徒歩10分ほど
標識には頭上注意の文言がある
続いて第2位は、逸見第一里道地下道(へみだいいちさとみちちかどう:東逸見2-86先)1.6メートル。
京急線逸見駅から徒歩で3分ほどの場所
通りの入口には標識がある
1.6メートルもめったにない低さ
ということは・・・! 「横須賀市内で最も低いガードが小山田開渠の1.5メートルの可能性がありますね」と鈴木さん。おぉ、1番低いガードの可能性があった。
「京急線の中でも最も低いガードになるのでしょうか?」と問うと、「横須賀市内しか確認できないので、京急さんに聞いてみてくださいね」とのこと。ごもっとも。
ということで、京浜急行電鉄株式会社・総務部広報課の担当者に電話でお聞きしたところ「京急が開通した1930(昭和5)年に合わせてガードができたと思われます。高さについては、現在の法律では、認められていない低いガードがあるのではないでしょうか」と横須賀市の話と一致した。
京急線で最も低いガードか伺ってみると「正確には、実際に現地を測ってみないと分かりませんが、現状の資料によると、小山田開渠が一番低い可能性はあります」との回答をいただいた。
下から覗く電車もツウにはたまらないであろう
横須賀市内だけでなく、京急線でも、最も低い可能性がある貴重なガードだった。ガード下から眺めたレアな景色を思い起こすと、もう1度行ってみたくなった。
取材を終えて
横須賀市内のガード下の高さを丁寧に調べてくれた横須賀市に感謝。
神奈川県内のほかの路線のガードも調べてみたが、インターネット上では1.5メートル以下のものは確認できなかった。さらに低いガードを知っている方はコメント欄から情報をお寄せいただきたい。
ちなみに、インターネットで調べたところ、日本で最も低いガードといわれている場所は、大阪府淀川区田川(たがわ)にある、北方貨物線が走るガードで高さ1.2メートルだった。グーグルマップで「日本一低いガード下」と入れるとその場所を示してくれるのもおもしろい。上には上、いや、下には下がいるものだ。
―終わり―
あもろさん
2017年06月28日 22時40分
テレビで見てて横須賀に低いガードかあるとやってて検索したらここにたどりつきました。さらに市内で一番低い所がご近所なのでさらにびっくり。
ゆーき2さん
2017年05月15日 02時56分
新幹線相模川鉄橋、平塚市側
頭上3メートル無い所を新幹線が物凄いスピードと轟音と振動をさせながら通過していきます
あれは…本当に恐ろしいです(笑)
ドライøさん
2016年11月21日 08時43分
相鉄線の西谷~上星川間にも似たようなものがありますよ