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横浜駅西口のダイヤモンド地下街入り口に行く途中にある、誰も気にしていない金色の女性像とは!?

ココがキニナル!

横浜駅西口のダイヤモンド地下街の入り口にある金色の女性像の由来を知りたい。何十年も前からあると思う。誰も気にしている様子はないが、誰が制作したもの?(ぶんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

作者は横浜在住であった彫刻家の井上信道氏。像のタイトルは「宇宙と子どもたち」。1989年から置かれているが、気にしている人はほぼいなかった。

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ライター:藤井 涼子

彫刻家井上信道氏のアトリエへ!



横浜市神奈川区にあるアトリエは、1933(昭和8)年に建設された当時では珍しい西洋風の家で、今に残る貴重な建築として昨年、神奈川大学工学部建築学科の生徒が研究に訪れたという。
 


アトリエの外観
 

こちらが女性像の作者、井上信道氏。2008(平成20)年に99歳で亡くなった


井上信道氏は東京美術学校(現東京芸術大学)に通うころから横浜に住んでおり、生涯このアトリエで制作活動をおこなうこととなる。
 


実際に制作していたという場所
 

足元はいつも粘土や石膏(せっこう)でいっぱいだったという


現在アトリエでは、ともに画家である夫人の寛子さんと娘の大野静子さんが制作活動をしている。
 


娘の大野静子さん。スウェーデンとの美術交流もあるとのこと
 

静子さんの作品。タイトルは「メロディ フロム ユニバース」(宇宙からのメロディ)
 

夫人の井上寛子さん。現在95歳だが今なお画家として活躍中
 

寛子さんの作品。タイトルは「迷わないで」


井上信道氏は、このアトリエにいる時に第二次世界大戦の横浜大空襲を受けた。真っ赤に燃える町を見てから、「この町を復興させたい。芸術と自然に満ちた場所にしたい」という思いで、横浜で制作活動を続けてきたそうだ。

三ツ沢球技場入り口にあるモニュメントも井上氏の作品だ。
 


タイトルは「天翔ける若人」


このほかにも、神奈川県庁正面玄関にある像「非核の母子像」や中区役所にある像「曙」、横浜山手聖公会にある「キリスト十字架像」など横浜に多くの作品を残し、1975(昭和50)年に横浜文化賞、その後1991(平成3)年に紺綬(こんじゅ)褒章、2004(平成16)年に自由美術協会平和賞を受賞している。

今回のキニナル女性像だが、タイトルは「宇宙と子ども達」。
当時開催されていた横浜博覧会のテーマが「宇宙と子ども達」であり、それにちなんでいるそうだ。制作日数は約1年。先述のとおり1988(昭和63)年に作成の依頼を受け、翌年に完成となった。

まず原型となる形を石膏で作り、それを元に型を作成し、そこにブロンズを流し込み、像を作る。
 


「宇宙と子ども達」の像の元となる石膏部分が完成した時の写真。井上氏当時79歳


女性のモデルとなった人は特におらず、静子さん曰く「父のイメージから作られた女性だと思う」とのことだった。完成当初は女性像の太ももからふくらはぎにかけて、ふんわりとした「雲」をイメージしたものがついていたそうだ。

井上氏の横の石膏像をよく見ると、アルミでできた「雲」を見ることができる。女性像がふわりと空へ飛び立つようなイメージが伝わってくる。
 


アトリエの玄関には、今でもその石膏の女性像があった!
 

この像を横浜駅中央通路に飾る際、「ガラス張りのケースに入れた方がいいのではないか?」という意見もあったそうだが、「道行く人が直接像を見られる方がいい」という井上氏の強い要望により、囲いを作らないまま置くこととなったそうだ。
 


金泥で作られた「宇宙と子ども達」

 
アルミでできていた「雲」は通行人が手で触れる位置にあったため、すぐに壊れて無くなってしまったそう。
この時の像は金箔ではなく「金泥」で作られていた。金泥で作られていた像は、年と共に茶色っぽい風合いになるという特徴がある。そのため、2006(平成18)年横浜駅改修工事に伴い、一時撤去した際に金箔をさらに上から重ねることとなり、現在のような金色に輝く像に生まれ変わった。
  


現在の金箔が施された「宇宙と子ども達」の像

 
「横浜駅を利用する乗降客を勇気づけ常に温かく見守っている、そんな像になって欲しいと父は願っていた」と話してくれた静子さん。井上信道氏はこの像への思い入れは強く、亡くなる前の年の98歳の時にもこの像を見に行きたい、と言って改めて見に来たそうだ。

横浜中央通路に置かれてから24年、今なお金色に輝き続けている。
 


取材を終えて



恥ずかしながら芸術とは全く縁のない生活を送る筆者は、芸術家と呼ばれる人のアトリエに今回初めて入れていただくこととなった。

「実際に制作していた場所」に一歩足を踏み入れると、目には見えない、ものすごいエネルギーを感じびっくりした。
歴史あるアトリエの建物は本当に素敵な雰囲気で「こういう場所から芸術品が生み出されるのだな」と筆者の日常にはない芸術品が溢れる異空間に、新鮮な気持ちになった。


―終わり―
 

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  • 気にしてる人は少なくても覚えてる人は多いですよね。横浜に住み始めた頃からずっとあって改修工事中もひっそりと飾ってあったことは知っていました。リニューアルされて帰って来たときはなんとなく嬉しかったです。アトリエ写真がとても素敵!

  • 初めて見たときは茶色っぽかった覚えはあって、いつの間にか撤去されてて、気がつけばキンキラキンになっていたので、何でだったんだろう?とどこかで謎には思ってましたが…それも含めてスッキリしました。三ツ沢球技場のモニュメントや山手聖公会のイエス様も同じ作者だったんですね!作品を意外と目にしていてびっくりでした。横浜西口には色々と芸術作品が有るので、作品のルーツや作者についてなど「はまれぽ」らしい解説で今後もどんどん取り上げて欲しいです。 (ダイヤモンド地下街入り口の壁画や中央広場のキラキラ窓とベンチの壁画、高島屋前の像とか…)

  • この像、前からこんなにキンキンキラキラだったっけ…?と気になっていました。やっぱりお化粧直しされていたんですね。今の方が目立つようになりましたが、金泥の風合いの方が落ち着いてて好きでしたね。

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