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洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」相生町「グリルエス」編

ココがキニナル!

横浜の洋食文化をつくった老舗洋食店の料理人に密着取材する「横浜コック宝」。第7回は、横浜一と名高いオムライスを作る相生町「グリルエス」6代目料理長の大武剛(おおたけ・つよし)さん

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ライター:クドー・シュンサク

コック宝の仕事

時間が正午を過ぎたころ、厨房はさらに回転が早くなる。
そしてぞくぞくと。

 

グリルエスのランチ
 

コック宝の味を求め
 

お客さんがやってくる
 

多い日には、ランチだけでオムライスが60食も出るというグリルエス。

 

息つくひまもなく
 

いくつもの
 

オムライスを作り上げるコック宝
 

時間は間もなく午後2時。

 

ランチタイム最後のオムライスが
 

完成し
 

お客さんのテーブルへ
 

それからコック宝はまた静かに。

 

デミグラスソースと向き合い
 

手早く後片付けに
 

ランチタイムが終了
 

圧巻の2時間半。何事もなかったかのように、厨房内にはデミグラスソースの「グツグツグツ・・・」という静かな音だけが響く。
「ランチおつかれさまでした」と声をかけるとコック宝は「ありがとうございます。あまりお話できなくてすいません」と穏やかに笑顔をくれる。
そして「一緒にどうですか?」と、まかないをいただきましょうというお誘い。

 

まかないはオーナーのママさん特製のお総菜や自家製のイカの塩辛
 

それにブリの照り焼き
 

スタッフの皆さんと一緒に、和やかな空気の中、美味しくいただきました。

 

しばしリラックスして食事をとるコック宝
 

いろいろお話を聞きたいところではあったが、リラックスしているコック宝とオーナーのママさんの楽しいお話に、仕事を忘れて談笑することに。

まかないをいただいた後、コック宝にお話を。

 

貴重な休憩時間をいただき、まずは15歳でコックの道に入ったお話から
 

も ともと4人家族だったコック宝の幼少時代。いつからか父子家庭になり、母と妹とは別々の暮らしに。中学生のころ、とある事情で妹がお父さんとコック宝のも とへ戻ってくることに。そのころから病気がちで入退院を繰り返していたお父さんを支え、そして妹の生活のために中学を卒業と同時に働くことを決心。

 

中学校に来た就職案内にあった「グリルエス」の募集に意を決する
 

「考える余裕みたいなものはなかったですね(笑)。一度やると決めたので、家のこと、家族のことだけを考えて、とにかく稼ぐしかないと思ったんです」

 

なぜ、コックを選んだのか
 

「家庭の状況的に、料理はよく作っていたんです。それと・・・まあ・・・・・・料理を作る・・・コックになりたいなという憧れもありました」

いろいろな就職の選択肢はあったものの、コック宝は15歳の時から、修業して修業して、実力をつけて、上に行ける世界、そこを見据えてコックの世界に飛び込んだ。
理由はひとつ。

 

家族と自分の将来を重ねての決断
 

コックの仕事とは。コック宝に尋ねてみた。

 

「・・・・・・」
 

しばし熟考した後、
「常に何のために作っているのか、それを忘れないことですかね」

夕方の仕込みの時間まで、少しの休息をとるとのこと。

それでは、また、後ほど。



洋食と生きるコック



指定の時間になり、お店へと戻る。
すでにコック宝は厨房で作業に入っていた。

 

朝仕込みをした牛肉のスジと大量のタマネギ
 

これを使い、店の命であるデミグラスソースを育てる。

 

ともに、フライパンで火を入れる
 

その間に今日で4日目となるデミグラスソースを濾(こ)していく
 

グリルエスのデミグラスソースは仕込みはじめてから2週間を擁し完成する。
それまでは毎日煮込み、濾し、材料を足していく。

牛肉のスジ、鶏ガラ、香味野菜類に、タマネギはなんと2週間で20キロもの量を使用。
小麦粉は使用せず、丹念に丹念に煮込み、じっくりと何回もまぜ、毎日濾して、大量のタマネギをはじめとする材料を加えじっくりと煮込む。そして、肉や野菜といった材料の旨みと成分を余すところなくギュッと凝縮させたデミグラスソースを作る。

 

大量のタマネギと
 

牛肉のスジを炒め
 

しっかりと濾したデミグラスソースに加えて
 

じっくり煮込む。デミグラスソースの仕込み、育ての時間が一段落ついたところで。

 

午後5時となり
 

夜の営業が始まる
 

1954(昭和29)年創業のグリルエス。古くからの常連の方から、近隣にお勤めの方、東京から「横浜の洋食」を求めて足を運ぶお客さんも多い。

 

夜の営業も開始と同時にお客さんが入る
 

コック宝は繊細かつ鮮やかな技術で
 

いくつもの
 

料理を
 

仕上げていく
 

同時進行で。

 

デミグラスソースにも手をかける
 

いくつものいくつもの料理を、お客さんを待たせることなく、素早くそして丁寧に作り続ける。
そしてコック宝は「食べていってくださいよ」と、その合間に作ってくれた。

 

グリルエスのオムライス(1200円)
 

ふわふわとクリーミーな口当たりの卵。ほどよい甘みと酸味のバランスで、大ぶりで角切りのロースハムやエビ、マッシュルームの味わいが素晴らしいケチャップライス。
食べると口の中にゆっくりバターの風味が広がり、全ての味がひとつになる。
美味しい洋食、心から美味しい味。そして美味しいオムライスが、ここにはあります。

 

「美味しいと言ってもらえるのが、この仕事の一番うれしい瞬間です」
 

午後9時を迎え、営業が終わったコック宝に、いつまでコックを続けるのか尋ねた。

 

「いつまでか・・・まだ決めていないですね」
 

そして、今までのコック宝たちも言っていたあの言葉が、今回も聞けた。

 

「この仕事が好きですから」
 

「お客さんが『美味しかったよ』と声をかけてくれるんでね、それがある限り、それが作れなくなるまで続けます」

 

横浜コック宝第7号「グリルエス」大武剛さん
 

ここに認定いたします。

 

若干15歳で飛び込んだコックの道
 

そのすべてが今のコック宝をつくり、そのすべてで、家族を守った。
横浜の洋食はまだまだ、日本に、世界に、強く誇れる文化です。



取材を終えて



「大好きな人に、大切な人に作る。いつもそういう気持ちで、料理を作り続けています」
大武 剛(1967~)


―終わりー


グリルエス
住所/横浜市中区相生町5-89
電話/045-681-2581
営業時間/月~金 ディナー 17:00~22:30(L.O.21:30)
月~土 ランチ 11:30~14:30(L.O.13:45)
土・祝日ディナー 17:00~20:45(土曜、祝日の夜)
定休日/日曜
 
 
<バックナンバーの記事はこちらから>
洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」真金町「狐狸庵」編
洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」伊勢佐木町「グリル桃山」編
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  • 以前から噂が気になっていましたが、本日やっとランチのオムライスをいただきました。。想像以上のおいしさです。食べ物で感動したのはホント久しぶり。。ボリュームがありすぎですけど(笑)、ひと口いただけばものすごく丁寧に作られているのが分かります。オムライスってこんなに美味しいものだったのね。。今度はハヤシに挑戦したいけど、オムライスも。。悩ませてくれる名店ですね!

  • オムライスが全部綺麗!流石!しかし「若干」は間違いで「弱冠」が正しい(それでも本来の意味では間違っているけど)

  • プロの段取りと無駄のない作業の流れが、手に取るようにわかる!記事も2週間かけるドミグラソースも素晴らしい。ぼく自身「フォン・ド・ヴォーから2週間かけて作るビーフ・シチュウ」にチャレンジしかけた(苦笑)ことがあるので、とことん丁寧に仕込む「町中の洋食屋さん」には脱帽のほかありません。まかないが和食というのも面白い。夜伺ってゆっくりしたいお店ですね。

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