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横浜・保土ケ谷区にあるハマレンガでできた「峰の赤富士」の正体とは?

横浜・保土ケ谷区にあるハマレンガでできた「峰の赤富士」の正体とは?

ココがキニナル!

滝ノ川あじさいロードにあるレンガ製の「峰の赤富士」は誰が何のために作ったの?また、道にも敷き詰められたレンガは「ハマレンガ」というエコ製品だそう。レンガの経緯や他の使用場所もキニナル!(ねこぼくさん)

はまれぽ調査結果!

「ハマレンガ」は「廃棄物リサイクル都市」を目指す行政の期待を背負った下水汚泥の再資源化製品だった。そして「峰の赤富士」には、事業を推進した元保土ケ谷区長の熱い思いが込められているようだ。

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ライター:結城靖博

保土ケ谷区内で見つかるハマレンガ



やはり保土ケ谷区内の公共の場には、あじさいロード以外にもハマレンガが使われている場所がいくつかある。

そのひとつが坂本町にある「ふれあいせせらぎのみち」だ。

 

相鉄線・上星川駅から徒歩10分弱の距離
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
案内図に「ハマレンガの道」とある
 

ここは東海道貨物線の猪久保(いのくぼ)トンネルの湧水を利用して、1997(平成9)年に作られた散策路だ。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
これが「ハマレンガの道」
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
距離は短いが、近隣住民にとっては素敵なふれあいの場所のようだ
 

もうひとつ、今井町にある「今井川いこいの水辺」にも、ハマレンガがたくさん使われている。

 

場所は「県商工入口」交差点の周辺
 

環状2号線と二俣川へ続く道路が交わる辺りから県立商工高等学校の敷地の端辺りまで、一般道の裏道にのびる徒歩20~30分ほどの散策路だ。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
小さくて見づらいが案内板に「レンガロード」とある
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
「あじさいロード」と同じハマレンガを示す表示を発見
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
敷石には、赤だけでなく黄色やグレーのレンガも使われている
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
水辺で遊ぶ子どもたち。いい光景だ
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
猫も「遊びにおいで」と言っているような
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
左の植え込みには「今井川水辺の会」、右には「今井川いこいの水辺愛護会」とある
 

交通量の多い表のバス通りから引っ込んでいて、ちょっと入り口がわかりづらいのだが、ここも近隣住民に愛されている小道のようだ。



観光メインスポットにも見られるハマレンガ



ハマレンガは保土ケ谷区にだけあるわけではない。ハマの観光名所にもその存在を誇示しているのだ。

たとえば、JR桜木町駅みなとみらい地区側の駅前広場の足元。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
ジャーン! 歩道の赤い部分がハマレンガだ
 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
近づいてみると特徴的な表面の模様が
 

ハマレンガの特徴は、表面がモヤモヤッとしたまだらなエンボス状になっていることだ。「ふれあいせせらぎのみち」のレンガにも同じ模様があった(横浜市環境創造局から入手した資料ではこの形状を「割肌(わりはだ)」と呼ぶ。ただしハマレンガには一般の「割肌レンガ」に見られる鋭いエッジはない。また、これとは別に表面が「平坦」な形状の種類もあった。「滝ノ川あじさいロード」の歩道ではそちらが主に使われている)。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
横浜市広報パンフレットより(2000年3月現在、資料提供:横浜市環境創造局)
 

そして、横浜中華街にだってハマレンガはある!

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
さて、ここはどこでしょう? ヒントは「媽祖廟(まそびょう)」の前
 

そう、南門シルクロードだ。この通りの歩道は「朱雀門(すざくもん)」から中華街大通りとぶつかるインフォメーションセンターのところまで、つまり端から端までびっしりハマレンガが敷かれている。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
これは朱雀門そばの植え込み
 

上の写真は前掲した「横浜はじめて物語/(1)ハマレンガ」の記事に載っていた「施工例(中華街)」とキャプションが付された写真とそっくりのアングルで撮った1枚。おそらくこの縁石もハマレンガなのだろう。

以上のスポットはネットなどで調べて判明したところだが、次の1枚は取材中たまたま見つけた場所だ。

 
保土ケ谷区にあるハマレンガ製の「峰の赤富士」
日本大通りの歩道で見つけたハマレンガ
 

やはりタイルを囲む赤い敷石の表面が、モヤモヤとしたまだらエンボスだ。

こうして見ると、ハマレンガが大いに活躍した時代があったことがわかる。
環境創造局の回答書によれば、市内の各水再生センターや汚泥資源化センターの施設内にハマレンガ施工箇所が残っているそうだ。
横浜のまちを散策していたら、思わぬところでハマレンガに遭遇できるかもしれない。そんなときは、ちょっとこのレンガの「誕生と終焉の軌跡」に思いを馳せてみてはいかがだろうか。



取材を終えて



金子宣治元保土ケ谷区長は、下水道局時代、汚泥処理の技術開発に尽力していたようだ。たとえば下水汚泥で作る紙「スラグペーパー」。完成したものの、諸般の事情で商品化には至らなかったが、開発当初は欧米のメディアから取材を受けるほど注目されたという。
もちろん、ハマレンガもそうした情熱的行政マンが生み出した産物のひとつだろう。

環境問題がいっそう重要なテーマとなる今日、困難な課題に臆せず「リサイクル都市ヨコハマ」を目指す志を、行政にはぜひこれからも保ち続けてもらいたいと思う。
もちろんそれは、われわれ市民一人ひとりにも返ってくる言葉ではあるのだが。


-終わり-


取材協力
時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」
埼玉大学教育学部 谷謙二・人文地理学研究室
http://ktgis.net/kjmapw/

横浜市環境創造局下水道施設部下水道設備課
電話/045-671-2851

保土ケ谷区総務部区政推進課
電話/045-334-6221


参考資料
『調査季報124号』横浜市発行(1995年8月刊)

『朝日新聞』2005年2月1日付朝刊

横浜市ホームページ「ハマレンガの仕様や購入方法について聞きたい」
http://qa.city.yokohama.lg.jp/search-detail/609/

横浜市ホームページ「ほどがや語りべ集 ~常盤台エリア編~ 横浜国立大学とその周辺エリア」
https://www.city.yokohama.lg.jp/hodogaya/shokai/gaiyo/miryoku/kataribe/tokiwadai_area.files/0007_20181031.pdf

ヨコハマNOWホームページ「元横浜市保土ヶ谷区長 金子宣治さん」
http://yokohama-now.jp/home/?p=8293
 
 

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