「家系ラーメン全店制覇への道」 サイドメニューでご当地ラーメンを提供している「あじゃあら」「えびす」「ら~めん市場」の3店舗をご紹介
横浜市内の「家系ラーメン」店を全店調査するというこの企画。前回は★5段階の味評価を店主の前で発表するという新企画を交えながら、今年に入ってオープンした「拉麺ぼうず」「とらきち家」「真心家」の3店舗を紹介した。

3店舗内で最高得点★3つ半を獲得! (写真:とらきち家)
マーコ氏の弟子入りテストに備え、日々家系ラーメンの猛勉強に励むライター・千葉(以下:チバコロ)。
そんな心の内を見透かしていたのか・・・
「今日は家系ラーメン店でご当地ラーメンが食べたい気分なんですよねー」と、マーコ氏が突然プロジェクト本部に現れた。ご当地ラーメンとは「全国各地その土地ならではの特色を持つラーメン」を指すが、そんなメニューが横浜市内のとあるラーメン店で提供されているとの情報を得たらしい。
それどころではない! と思いつつ、家系ラーメン店が作るご当地ラーメンというのも、正直キニナル。
そこで今回は、ご当地ラーメンを提供する3店舗を紹介しようと思う。
地元の味で勝負! 横浜でNo.1かもしれない○○も・・・!?
最初に訪れたのは、JR横浜線十日市場駅から徒歩1分にある「あじゃあら」。

個性あふれる店構え

店内も遊び心満載
店主の駒谷有亮(こまやゆうすけ)さんは以前フレンチのシェフとして腕を振るっていたが、実家の家業を継ぐために一度飲食業界を離れたそう。その後さまざまな業界を渡り歩く中でラーメン店「一寸法師」の立ち上げに携わったことが、ラーメン業界へ足を踏み入れるきっかけになったという。
その後、とある事情で閉店となった、「一寸法師」を買い取り15年ほど前に「あじゃあら」をオープンさせたそうだ。

店主の駒谷さん。店名はインスピレーションでつけたそう
家系ラーメン店での修行経験はないそうだが、数え切れないほどの家系ラーメン店を食べ歩いて舌でその味を覚え、前述のラーメン店で学んだノウハウを元に試行錯誤をくり返し、今の味に行き着いたという。

れんげもお洒落な 「正油とんこつラーメン(670円)」
使用している麺は家系ラーメンでは珍しい羽田製麺の中太麺。7回の試作を経てようやく完成した同店特注麺だ。

パスタのような食感
形式にとらわれない感性はラーメンにとどまらない。昨年の夏に立ち飲み処を新たに併設し、17時からはお酒と共に味わうこともできるのだ。

立ち飲みならぬ立ちラーメンも!
極めつけはメニューの豊富さ! 感性で創り上げた麺のグランドメニューはなんと40種類!

横浜No.1のメニュー数!? このほか期間限定メニューもたくさん
バラエティーに富んだメニューを眺めていると、ふと目に入った文字・・・「サンマーメン」だ!
サンマーメンといえば、横浜のご当地ラーメン。これを食さず何を食す!?

「一番美味しいサンマーメンを」と独自に開発

スープも餡もしょう油ベースの 「サンマーメン(800円)」

箸が持ち上がらないほど!? 濃厚なとろみ
オリジナルで創り上げた家系ラーメン、そしてサンマーメンの味はいかほどか!?

こだわりのスープを丹念にチェックするマーコ氏

そしておもむろにペンを手にした・・・
前回からスタートした新企画! 家系マイスターであるマーコ氏に、ラーメンの味のみを対象とした5段階評価をボードで表してもらい、その場で発表してもらうというもの。
今回はいくつの★が輝くのか!?

「辛口なんでしょ~。控えめに頼むよ~」

店主の予想は★1.3!? 想定外の数字にマーコ氏も困り顔
自信の表れか!? 緊張の面持ちながらもどこか堂々と発表を待つ店主。
さて、下された評価は・・・?

★2つ半を獲得!
日本各地のラーメン店の売上げを軒並み上げまくり、日本で5本の指に入る敏腕ラーメンコンサルタントであるマーコ氏。
商品力はもちろん、外観力、店主力など店の総合力を上げるため店主に告げたアドバイスの一部を「マーコの本気コンサルチェック」として紹介しよう。
マーコの「本気コンサルチェック」
1.味は悪くないので、とにかく現代需要にそぐわないとんこつ臭は排除すべし。
2.オペレーションの低下や看板商品の進化に影響を及ぼすので、メニューはもっと絞るべし。
3.新規客からすると何店か分かりづらく非常に入りにくい外観なので、「一目でラーメン店」しかも「売りである家系ラーメン店」と伝わるような外観に強化すべし。

アドバイスを痛感!
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:予想以上のスープのボディ感、ガッツリとチー油も効きストロング系に属するが、とんこつ臭が強く、現代のとんこつ臭撲滅の流れを考慮すると、明らかにマイナス部分といえよう。また、麺に関しても麺自体の主張が強い分、スープとの絡みが弱い。
サンマーメンは、スープ全体が餡ワールドで「麺を持ち上げるのが難しい状態」になっており、これまで食してきたサンマーメンでトップ3と言えよう。
チバコロ:とんこつ臭がかなり残り、美味しくいただいても後口が気になってしまった。サンマーメンはスープと餡の合わさり具合が絶妙で、チバコロにとっては上位ランクインの一杯!
店主の味覚がものをいう!? 東京の味を横浜で食す
次に向かったのは東急東横線菊名駅。東口の階段を下りると「ゑびす」と踊る赤い文字が目に飛び込んできた。

控えめな間口ながら、存在感を放つ

店内はカウンター9席のみ!
決して広いとはいえない店内だが、これには店主・栗城真(くりきまこと)さんの「コンパクトで、お客様とのコミュニケーションがとれる店」という強い思いが込められてのこと。

「七福神・えびす様への神頼みで名付けました」と店主の栗城さん
店主が初めてラーメン作りに携わったのはフランチャイズの中華料理店だが、閉店を余儀なくされ、独立を決意。当時の部下と二人三脚で構想を練りながら連日連夜家系ラーメンを食べ歩き、そのデータを基に業者と開発を進めた。
週に2、3回通える味をコンセプトに、納得できる味になるまで100通り近いパターンのスープを創り上げたそうだ。

閉店の経験から、お客とのかかわりをより大切に思っているそう
また、中華料理店でつながりのあった麻生(あそう)製麺からも「力になれれば」と申し出を受け、同製麺所の平打ちストレート麺を使用している。

もっちりした食感とつるつるの喉越し

みんなの想いが詰まった一杯 「らーめん(650円)」
イタリアンの経験がある部下が暑い日にも食べやすいように、と開発した「トマトらーめん(850円)」や、にんにくともやしがたっぷり入った 「えび郎らーめん(650円)」、某有名つけ麺店のインスパイア!? 「つけめん(650円)」など、サイドメニューも豊富。
東京都のご当地ラーメンである「油そば(650円)」も、人気店の味を参考に店主が開発したという。

東京発祥のご当地ラーメン「油そば」、ここにあり!

必殺! 油そば版 天地返し~!!
店主の味覚を頼りに生み出されたラーメンや油そばは、マーコ氏の舌にどう映ったのか!?

店主に背を向け塗り込んでいく・・・

「インパクトが弱いので★は1つか2つかな・・・」

店外に移動し、いよいよ発表の時!
暖かな日差しとは裏腹に、張り詰めた空気が流れる。
「それでは、発表します!」 星の数は・・・

緊張感が伝わってくる・・・

★3つ! 「おお~!」 満面の笑顔を見せる店主
マーコの「本気コンサルチェック」
1.充分に戦闘力が高い一杯だが、欲をいうなら中毒性を付ける意味でしょうゆダレをあと5cc増やすべし。
2.集客力にかなり影響する看板力が弱いので、書体はもちろん、デザイン内容に「横浜家系ラーメン」もしくは「濃厚豚骨ラーメン」と入れて消費者の訴求力を高めるべし。
「いつ食べても変わらない味」を意識しているという店主に、ボードのコメントは最高の褒め言葉になったようだ。

コメントに大喜びの店主
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:「しょう油・スープボディ感・油の量」のバランスがグレイト過ぎる一杯である。
ただ欲をいえば、バランスが良いイコール「とんがった部分や良い意味での下品さがないこと」を意味するので、あと少し中毒性を強めてほしい。
油そばは、もはや家系ラーメン店の片手間レベルではなく、濃厚なタレと油が麺に絡みまくる、戦闘力が高い一品である。
チバコロ:基本のスープが安定しているうえ、それぞれに適した油を用いることで風味と旨みを増している。個性が生かされた美味さ。

バランス感が最高!
横浜にいながら熊本の味を堪能!?
最後に訪れたのは、東急田園都市線市が尾駅から徒歩3分、国道246号線沿いの「ら~めん市場」。

奥に広くテーブル席も3卓あり
なんとこの店の営業時間は19時から翌朝6時! 仕事や飲みの帰り、朝ラーといわれる朝からラーメンを食するお客で、深夜や早朝もにぎわっているという。

ランチでよくみるサービスも同店ではディナータイムで行われる
以前に掲載した「其の拾参~真夜中編」で紹介したかったほど真夜中最強店だが、それ以上に紹介したいものがこの店にはある。
それこそ今回のテーマであるご当地ラーメン、熊本県の「黒マー油らーめん(800円)」だ!

塩とんこつがベースの 「黒マー油らーめん」
それにしても、なぜ横浜で熊本県のご当地ラーメンを提供しているのか? 店主の馬場勉(ばばつとむ)さんにお話を伺った。

店主の馬場さん。実家は札幌ラーメン店を営んでいたそう
18歳でラーメン業界へ入り数店で修行を積んできたが、家系ラーメンは同店が初だという。オープニングスタッフとして入店してから2年後、初代店主から同店を譲り受け二代目店主となったそう。
ご当地ラーメンは熊本県出身の初代店主が、故郷の味を広めたいと導入したそうだ。

香ばしニガ~い!
使用している麺は長多屋製麺の中太ストレート麺。

生麺からも伝わってくるもっちり感
メインである家系ラーメンは、初代店主が某超有名家系ラーメン店の修業で得たスープ。食べやすくクセがない味へとアレンジを重ね、今の味に行き着いたという。

初代店主の修行先は後ほど明らかに・・・

オリジナルへと変化を遂げた 「醤油らーめん(690円)」
するとここで、マーコ氏が「チバコロ、入門テストを開始する」と突然言い放った。
ご当地系取材と聞いて油断していた・・・。

「このビジュアルから何系に属するラーメンかを当てるんだ」
今回のテストは4択。マーコ氏が鞄からおもむろに取り出したボードは以下のとおり。

皆さんも一緒にお考えいただきたい
クリーミーなスープ、ちょこんと乗ったうずら・・・ これは、アレしかない!

チバコロの答えは3の壱系!
ファイナルアンサー?

正解! 第一関門突破!!
まだまだ初段中の初段。これからレベルアップしていくとのこと。しかも、2回間違えた時点で入門テストは即刻終了! 入門話は永遠に封印されるらしい・・・
答えが出たところで、初代店長の修行先は壱系の名店「壱六家」。

アレンジを施されたスープは吉と出るのか!?

その時をむかえ、店主の緊張もマックスに
いよいよ発表・・・ マーコ氏の出した評価とは!?

ついに出てしまった!! 無念の★1つ・・・

・・・
マーコの「本気コンサルチェック」
1.フック(中毒性)が皆無なため、もっと味に攻撃性そして狂暴ポイントを作って中毒性を高めるべし。
2.店内が暗いために活気感がまったくなく、活気感は流行っている感に直結するところなので店内をお祭りに負けないくらいギンギラギンの明るさにするべし。

店主の予想は★0.5と控えめだったのだが、やはりショックは隠せない様子
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:「これは本当に家系なのか?」と疑ってしまうくらいパンチ力が皆無に等しい。
いくら味の好みが選べるとはいえ、家系なのだからもう少し攻撃的な一杯を作ってほしい。
ただ、「黒マー油らーめん」は、さすがは熊本出身の人物が作ったマー油系ラーメンであり、マー油自体のレベルがなかなか高い。
チバコロ:アレンジをくわえたことで味があっさりしすぎて、インパクトが薄く感じてしまう。

店外は一瞬で傘が壊れるほどの暴風雨。パンチ力最強
取材を終えて
ご当地ラーメンも提供している家系ラーメン店を紹介してきた今回。家系ラーメン店での修行なしに創り上げた店主ばかりで、その感性と味覚には脱帽であった。
たまには家系以外のラーメンも悪くないかも? と、浮気心が芽生えた取材であった・・・。
― 全店制覇まで 残り 55 店舗 ―
※上記軒数は現段階で調査できた店舗数となります。開店・閉店・発見により軒数が変動する場合があります。
次回は夏が近づくこの季節に嬉しい「つけ麺を提供する家系ラーメン店」をお届けしようと思う。
いくつの★が輝くのか、乞うご期待!
―次回に続く―
次回の更新日は2014年5月20日(火)を予定しています。お楽しみに!
<取材協力>
神奈川のラーメンを盛り上げよう!会
http://kanagawa-ramen.net/
マーコの辛口ラーメンチェック
http://ma-ko64.com/