「家系ラーメン全店制覇への道」。第18回は激安で食べられる「銀家(ぎんや)」「こん」の2店舗を紹介!
ドSな人間に忍耐を強いるのは恐ろしく危険なことだ。
彼らに「耐え忍ぶこと」の美学は通用しない。抑圧された欲望は、その身体の中で増殖し、いつしか形を変えて吐き出される。侮るなかれ! 彼らの強大な欲望は、決して消えることなどないのである。
だから、そう・・・
ドSな吉田編集長に「ダイエット」企画を持ちかけてはいけない。
ましてや、その苦痛に顔を歪める姿をここぞとばかりにおもしろがってはいけない。

この男のように・・・
ようするに、筆者の担当編集者・松山氏は「やっちまった」のだ。
大好きなおやつを禁じられてストレス全開の吉田編集長を前にして、「ボク、小食っすからぁ~、ボクサー体系っすからぁ~」とヘラヘラ「やっちまった」のだ。あぁ、なんて命知らずのお馬鹿ちゃん・・・。

大好きな「おやつ」
この瞬間、ドSな悪魔の腹の中で溜まりに溜まった食べたい欲求は、「ちょっぴり系の松山氏にガッツリを!」という新たな企てとなって吐き出されたのである。
まさかの呼び出し。しかも・・・
そんなわけでドS編集長・吉田とドM松山氏のSMプレイに巻き込まれる形で呼び出されたのは、食欲おう盛な若者の集う日吉駅。

日吉駅名物「銀玉」
松山氏が編集長・吉田から「ガッツリ食べてこい」と指示されたのは、「はまれぽ」のグルメ企画の中でもかなりガッツリ色が強い家系ラーメン。
しかし、ここでまた、へなちょこならではの問題が浮上。この男、人をわざわざ日吉駅まで呼び出しておいて「実は、給料日前で手持ちがあんまりないんですよ~」とのたまわうではないか!?
待ち合わせ場所が日吉駅だったのは、学生街ならではのリーズナブルな価格設定を期待してのことだったよう。
ああ、これはもう筆者一人の手に終える問題ではなさそう。
そこで、今回は「例のあの人」にご同行いただき、「家系ラーメン全店制覇への道・其の拾八」として取材を敢行。リーズナブルな価格で食べられる家系ラーメン店を紹介していただくことに。

我らが救世主・家系ラーメンコンサルタントのマーコさん
「リーズナブルな価格」とうたってはみたものの、家系ラーメンの相場価格がどの程度の物なのかもわからない家系ラーメン初心者の筆者。襟足がちょっぴり気になる彼が言うには、その相場はだいたい600円台後半とのこと。
ガッツリ入った豚骨やたっぷり浮かんだ鶏油(ちーゆ)など、材料費を考慮すればやむを得ない価格なのかもしれないが、日ごろ家系ラーメンを食べ慣れない筆者にとっては、やはりちょっと高いなというのが正直な感想。
隣には小銭「だけ」で膨らんだ財布をこっそり確認する松山氏の姿も・・・

助けてください、マーコさん!
ご飯食べ放題! 脅威のコストパフォーマンス!
するとマーコさんが案内してくれたのがこちらのお店。

日吉駅北口、普通部通りにある「ラーメン銀家」
「ラーメン銀家」は、2008(平成20)年9月にオープンした日吉本店のほかに、同じく家系ラーメンを提供する戸塚、伊勢佐木、大和各店と日吉本店に隣接する「銀家アウトレット」の5店舗を展開するラーメン店。

隣接店は家系ではないが、こちらもキニナル「替玉し放題600円」
今回、ここ日吉店を「リーズナブルな家系ラーメン店」として取り上げたのは、同店が系列のほかの3店舗に比較して50円もお安い630円(税込)でラーメンを提供しているため。

その上「ライス無料。おかわり自由」のサービスも
同店の田中竜也店長にお話を聞くと、「正直なところ、あと50円値上げしたいというのが本音。ただ、学生層の多い日吉という土地柄上、どうしても値段を上げられないというのが実情。けっこうギリギリなんですよ」とのこと。
4キロ炊きの釜で1日6回も炊いているというライス無料のサービスも、「学生さんたちに少しでもたくさん食べてもらいたい」という思いで行われているサービスなんだとか。

では、早速キニナル630円のラーメンを一杯
まずは、そのビジュアルからチェック。
具材は、「のり3枚、ほうれん草、チャーシュー」が乗った定番のスタイル。スープの上にどどんと大きく寝そべる立派なチャーシューは、「だいたい25~30グラム」とかなり大振り。

さあ、たっぷりお食べなさい
続いてキニナルスープは、メインの豚骨スープと鳥や豚を煮込んだサブスープの合わせ技。
田中店長曰く「(近隣の競合店)武蔵家さんががっつり濃いスープなのに対し、うちはマイルドでクリーミーなスープ」。中毒性の高い味を作り出すという鶏油は、「だいたい26ccくらい使用している」とのこと。

「オープン当初よりストロング感が増した気がする!」とマーコさん
しかし、家系初心者の筆者にとって「ストロング感」の意味がイマイチ「ルー大柴」。
ただ、食べてみると「マイルド」とは言いながらも、豚骨感を感じるしっかりした味わい。
なるほど、「ストロング」の感覚をマーコさんとトゥギャザーできた気が・・・。
開店から試行錯誤のもと作り上げられたというこの味は、もともと戸塚にある「麺工房しょうや」や日吉にあった「桜家」などで経験を積んだオープニングスタッフが作ったのだとか。
「そこまで豚骨が強くないので、醤油だけでなく、ほかの味にも対応できるのが特徴」と、メニューの豊富な「銀家」ならではのこだわりも。

豊富なメニューも同店の魅力のひとつ。店長のオススメは「塩とんこつ」
こだわりのスープに合わせて、もちろん麺も特注品。

使用するのは「丸山製麺株式会社」の麺
家系ラーメンの定番製麺所の一つで、比較的安価でありながらしっかりと要望を汲んでくれる点が採用の理由らしい。
スープにしっかりと絡む中太麺は、一本一本がやや短めなので、吸引力のない筆者でもずずずっとすすって頬張れるのが嬉しい。
と、ここで筆者のあまりの無知ぶりに業を煮やしたマーコさんが、「これを知らなきゃ人生損をしている!」と言い切る「美味しいライスの食べ方」を伝授。

まずはラーメン胡椒をライスに直がけ

そしてスープに浸した海苔で巻いて食べる!
これ、かなり美味しい! 胡椒に加え、ニンニクや豆板醤を乗せれば更にその美味しさは増すらしい。

小食の松山氏も「中ライス」を手にしてこんなに幸せそう
では、そんな松山氏から食後の感想を一言。
松山:「味も濃い目でお腹にたまる感じ。マーコさんに教わった『スープ海苔ご飯』も美味しかった! ただ、もしあったとしても、ご飯は『小』でいいかも」。
なるほど、次はぜひ「大」で。
と・・・あれれ・・・?
何してるんですか、マーコさん!?

やっぱりやるんですか・・・?

やっちゃいましたよ「辛口チェック」。出ました、星3つ半!
では、せっかくなので総評も合わせてぜひ。
マーコさん:「630円という提供価格にもかかわらず、ストロングスープ+ライス無料(お替りも何杯でも無料)というのは、ハイコストパフォーマンスと言わざるを得ない」
「ただ強いて言えば、超ラーメン激戦区日吉、そしてハイレベルな家系店舗が周りにあるだけに、『絶対的な名物メニューが存在する』などもう一つ上の差別化要素を作るべし」
「また、雰囲気力にて味の感じ方というのは大きく変わってくるもの。外観・内観ともに少々『活気感』が弱く、ラーメンの味が良いだけに『雰囲気力』も高めるべし」
なるほど、今日もストロングトーク炸裂のマーコさん。その冷静かつ丁寧な分析に、田中店長からは「現在、新規メニューも考案中。社長の野望では、5年で100店舗(笑)。自分もその手伝いができれば」と意欲満々の回答。
次回は更なる好評価が期待できそうだ。
ごちそうさま。
まさかのワンコイン家系!
一店舗目の取材を終えて、早くもノックアウト気味のちょっぴり系・松山氏と家系初心者の筆者だが、そんなことはまったくおかまいなしのマーコさん。
星3つ半の実力店を紹介してご満悦の彼が「価格の安さなら断然ここ!」と次に案内してくれたのは、JR山手駅から徒歩10分、本牧通り沿いにある「らーめん こん」。
その破格のお値段とは、なんと驚きの500円!

外観はこんな感じ。ん? ブルーシート?

ん? ガムテープ? 看板には大きく書かれた「500円」の文字
これに対して、すかさずマーコさんの辛口チェック!
「新規客の大半が店構えで入店してくるもの。店の顔である看板がこの状態だと、新規客にとっては非常にハードルが高い」と、厳しいご意見。
確かに、何かいろいろとキニナル・・・。
では、店内の方は・・・?

ピカピカに磨かれた厨房は店長のこだわり!?
店内は、4人がけのテーブル席が2つとカウンター席が5席程度のこじんまりとした作り。とはいえ、厨房・客席共、全体的にすっきりと片付けられているので窮屈な印象はまったくなく、逆に開放感や清潔感があって明るい印象。

店を切り盛りするのは店長の小山晃一さん
「らーめん こん」がオープンしたのは今から4年前の2010(平成22)年のこと。同店の小山店長は、洋食歴30年、ラーメン作り10年の経歴を持つベテラン料理人で、同店オープン以前は豚骨ラーメンを提供する「ラーメンショップ綾瀬店」で働いていたという。

現在は500円の「ラーメン」のほかに味噌、辛味噌、つけ麺も提供中
今回の取材では、格安の家系ラーメン店としてご登場いただいたが、小山店長曰く、そのお味は「家系に近いかもしれないけど、まるっきり正統派の家系ともちょっと違うオリジナル」。中毒性の鍵を握る鶏油に関しても、「以前は使用していたが、コスト面の問題もあり今は入れていない」とのこと。

見た目にもあっさりしたさっぱり味のスープ
ん? さっぱり?

確か、外の看板には「濃厚」の文字があったはず・・・
「実は、オーナーがこってり系をやりたかったみたいで看板に『濃厚』って書いちゃったんだよ」と小山店長。
来店時に気になった「看板ガムテーム」の謎は、なんとか手の届くところだけは修正しようと試行錯誤した結果なのだとか。
なるほど・・・。
と、ここで慎重な面持ちでラーメンを食していたマーコさんが一言・・・

「う〜ん・・・、海苔が小さい・・・」
そう、ここ「らーめん こん」のラーメンは、その具材も正統派家系ラーメンのそれとは違う「ワカメ、チャーシュー、ウズラ玉子、海苔に関しては家系定番の大判海苔ではなく、小さいのものが2枚」の4種類。
「これはかなり独自性の強いアレンジ家系ですね」と言葉少なにラーメンをすするマーコさんの姿はなんだかちょっと寂しそう。
宝探しを彷彿させるウズラ玉子の存在は、筆者的になんとも愛おしくて憎めない感じなのだが・・・。

麺は「丸高製麺」の中太麺
数ある製麺所の中から同店の麺を選んだのは、「もっちりとしていて伸びにくい点が気に入ったから」と小山店長。もちろん価格面で納得できたことも大きな要因の一つ。

食べ応えのある中太麺も、あっさりスープなので余裕の完食
では、「ラーメン こん」のスープよりも遥かに濃厚なお二人から感想を。
松山:「さっぱりと食べやすいスープ。ワカメのこりこりした食感は面白く、ウズラもしっかり味がついていて美味しかった。味噌ラーメン用なのだろうけど、トッピングの『バター』を入れたらどうなるのかキニナった」
なるほど、具材の独自性は好みの分かれるところか。筆者同様、松山氏もウズラファンだったもよう。

では、もうひと方。頭を抱えておりますが・・・?
マーコさん:「『500円』という価格は立派であるが、50円値上げをしても良いので最強ツールである『鶏油』は最低でも入れるべし。現状は、残念ながらこのご時世の需要とは真逆のフックのないラーメンになってしまっていると言えよう」
また出た、初心者には謎のマーコさん用語「フック」。
聞けば、「しょっぱい、甘い、辛いなどといった、とんがった部分」のとことで、「パンチが効いてますね」などというときの「パンチ」とほぼ同じ意味らしい。
「パンチでよいじゃん・・・」とこっそり英語辞書を調べると、「hook(フック)」には、物をかけるフックを意味する「鉤(かぎ)」から転じて、「顧客や消費者の興味を引くもの」などの意味があるらしく、マーコさん用語と思われた謎の言葉の意味がきちんと英単語として成立していることが判明。
恐るべしマーコさん用語。
では、キニナル星チェックを!

じゃかじゃんっ! ちょっと渋い表情を浮かべて星2つ!
やはり海苔の大きさも気になっていたのだろう。
「『8割以上が見た目』という説が存在する中で、今回のラーメンは相当貧相に見えてしまうビジュアル。小さく貧相に見える海苔を2枚のせるくらいなら、1枚でもよいので大判海苔に変えるべし!」と細かいアドバイス。
「全ての具を中央に集め、立体的に盛り付けた方が見栄えがよい」とのコメントには、小山店長も「中央ね」と興味を持ったよう。今後の改善に期待。

最後に「500円」ラーメンの秘密をひとつ
家系ラーメン店としての評価は、少々厳しめだったものの、このご時世にワンコインでラーメンを提供しようという心意気は大きく評価できるところ。
小山店長によると、「500円という金額設定は相当厳しいけど、そこまで高くしたくないというのがオーナーと自分の考え」。店主の「お客さんに気軽に食べに来てもらいたい」という思いと、さまざまな角度からの企業努力には頭が下がる。
取材を終えて
筆者にとって、ほとんど未知なる世界の「家系ラーメン」。ガッツリ脂ギトギトのイメージばかりが先立っていたものの、実際に試食をしてみると豚骨の風味やその風味の中で広がる醤油の味わいなど、奥の深いラーメンであることを実感。
今回は、松山氏が給料日前だったこともあり、「リーズナブル」というくくりで家系ラーメン店を紹介させていただいたが、彼にボーナスが支給された暁には、ぜひ最高値の「家系ラーメン」を食べさせてもらいたい。
―全店制覇まで残り48店舗―
※上記軒数は現段階で調査できた店舗数となります。開店・閉店・発見により軒数が変動する場合があります。
※★評価は2店舗とも取材日時点での評価となります。
※★評価は事前に店主の許可をいただいたうえで行っております。
―次回に続く―
取材協力
神奈川のラーメンを盛り上げよう!会
http://kanagawa-ramen.net/
マーコの辛口ラーメンチェック
http://ma-ko64.com/
「家系全店制覇への道」特設ページ
銀家 日吉店
住所/横浜市港北区日吉本町1-20-5
電話/045-561-1291
営業時間/5:00~翌3:00
定休日/無休(年末年始は要確認)
らーめん こん
住所/横浜市中区麦田町3-69
電話/045-624-0713
営業時間/11:00~15:00、17:00~22:30(スープがなくなり次第終了)
定休日/無休