「家系ラーメン全店制覇への道」4回目の今回は、家系ラーメンの一大勢力である「壱系」の全貌を解き明かすとともに、市内の介一家グループ最後の“あの店”を調査!
前回、「介一家(すけいちや)」から新たに独立した「介一家・うりゅう」、家系ラーメンの歴史においてひとつのターニングポイントとなった「横濱家・平台本店」、家系本来の味を守り続ける「近藤家・本店」、以上3店舗の調査を行い、今まで明るみに出てこなかった家系の歴史が明らかとなった。

前回の取材で協力いただいた「近藤家・本店」
4回目の今回は、市内にある介一家最後の店舗「介一家・鶴見店」と、家系ラーメンの一大勢力で、クリーミーかつ濃厚なスープがウリの“壱系”と呼ばれる「壱六家」「壱八家」の3店舗を調査したいと思う。同行してくれるのは、家系ラーメンのアドバイザーでもあり「神奈川のラーメンを盛り上げよう!会」の会長・マーコ氏。

「介一家・うりゅう」の店前でポーズをとるマーコ氏
今回も同様に取材対象の各店舗の歴史を紐解きながら、味の評論をお届けするとともに、訪れた店の情報価値(ウンチク話やマニアック話など)を「ネタ度」とし、☆5段階評価として採点していくことにする。
また、調査対象店舗は、横浜市内に点在する家系ラーメン店150店舗から支店を除き、本店のみを対象とした、約130店舗とする。
介一家・生き残りのひとつ「介一家・鶴見店」
まず最初に伺ったのは「介一家・鶴見店」。JR鶴見駅から徒歩7分、京急鶴見駅から徒歩3分に位置する同店がオープンしたのは、今から20年前の1993(平成5)年。
前々回、前回とお伝えしたが、「介一家」の1号店である「介一家・山手店」が1988(昭和63)年にオープンし、翌年の1989(平成元)年に「介一家・港北店」、そしてその4年後に「介一家・鶴見店」が誕生したという経緯となる。

独特な外観の同店
話を伺ったのは、安藤琢磨店長。同店がこの地にオープンした理由は立地条件の良さ。店の近くに工場や企業が数多くあるほか、国道15号線沿いのため、トラックの運転手が多く利用してくれるからだそうだ。
そんな同店の特徴といえば、「介一家」特有のあっさり味のラーメン。
ではなぜあっさりにしたのだろうか? そんな疑問に対し、安藤店長いわく「実はオーナー(原祥介氏)が『家系』と『普通のラーメン』の中間の味にしたいというのが理由のようです」とのこと。そして試行錯誤のうえ、介一家は現在のあっさり系の味に辿り着いたのだそう。

店内は介一家の特徴のひとつである赤を基調とした内観
なるほど・・・ようやく「介一家」のあっさり味の謎が解けた! しかしオーナーの原氏とはどんな人なんだろう・・・。そんな疑問が頭をよぎるなか、安藤店長の口から以外な真実が!
「実はオーナー(原氏)は以前、実姉が山手で運営する骨董品店と酒店を開いていたんです」。
聞くところによると、前回の記事でも登場した「近藤家」の近藤氏がその酒屋でアルバイトをしていたところ、原氏が声をかけたことがきっかけで介一家がスタートしたのだとか。
なお、原氏が運営する骨董品店は、現在は海岸通り沿いの「Amazon Club(アマゾンクラブ)」という飲食店へ店舗形態を変えて運営しているんだそう。ちなみにランチ限定で家系ラーメンを提供していたようだが、先月9月いっぱいで終了したそうだ。

原氏の運営する多国籍料理店「Amazon Club」
さて、いろいろと面白話が聞けたところでいよいよ実食だ。今回、食したものは「ラーメン(650円)」と、介一家名物の「ドラゴンラーメン(700円)」。

チー油が少なめなのであっさり食べやすい「ラーメン」

介一家名物のピリリと辛い「ドラゴンラーメン」
>マーコ氏
まさに介一家らしいあっさり型の家系ラーメン。また、麺も介一家の特徴のひとつである丸山製麺を使用しており、「介一家ワールド」を存分に堪能できる一杯だ。
>編集部・千葉
いままで食べてきた中で一番あっさり系の家系ラーメンかもしれない。チー油が少なめなので、お酒を飲んだあとにサッパリ食べられるかも。
<今回の採点>
ネ タ 度 :☆☆☆★★(星3つ)
既食メニュー:ラーメン(650円)、ドラゴンラーメン(700円)

介一家特有のあっさり家系ラーメンに納得のマーコ氏
余談だが、今回取材に協力してくれた安藤店長は来年には独立し、横浜市内で家系とは別のラーメン店をスタートさせる予定だそう。なので現在の介一家・鶴見店の味を堪能したいのなら、今年中に来店することをオススメする。
“壱系”総本山! 「壱六家・本店」
続いて訪れたのは、JR根岸線の磯子駅から徒歩5分ほどにある「壱六家(いちろくや)・本店」。
関東近郊で9店舗を構える家系の一大勢力を築き上げた同店は、「IEK(イエケー)48 総選挙」のユーザーランキングで堂々の2位に輝き、取材日の10月初旬の平日15時過ぎにもかかわらず、ひっきりなしに客が来店するほどの盛況っぷり。

赤い看板に白い文字がキリリと輝く
話を伺ったのは渡辺学店長。同店のオープンは今から21年前の1992(平成4)年。現・オーナー(名前は非公開)が「吉村家」のようなラーメン店を立ち上げようと思ったのが立ち上げたのがキッカケだそう。
だが、それだとただのモノマネになってしまうとのことから、「吉村家」よりもより濃厚なスープを作ろう! と発起し、いまの壱系特有である「濃厚かつクリーミー」なスープを創り上げたんだとか。

使用している麺は長多屋製麺
そんなスープに思い入れのあるオーナーは、日々店舗へ来店し、スープの味を確認するのだそう。ひどいときは店のシャッターを閉めることもあるそうで、そこには味へのこだわりがうかがえる。ちなみに壱六家の由来は国道16号線沿いにあるから 「壱六家」。
話を続けていくうちにマーコ氏の目線がとある場所にくぎ付けとなった!
いったい何を見ているのか? そう思っていた矢先、マーコ氏が「家系ラーメン店で『ライスの美味しい食べ方』を始めたのは、この店じゃないですか?」とのこと。

新しめの家系ラーメン店ではよく見かける「ライスの美味しい食べ方」
それに対し、渡辺店長の口から出た言葉はYes。なんと、まさかこの方式の発祥が壱六家だったとは! ちなみにこの食べ方を編み出したのは、お客さんの食べ方がキッカケ。最初は恐る恐る試してみたところ、予想以上に美味しかったので、そのまま推奨したんだそう。
ちなみにライスの美味しい食べ方の一部をご紹介。
まず、テーブル上にあるおろしにんにく(スプーン1杯)と豆板醤(スプーンの1/2)をライス(小/100円、大/150円)に乗せて、少し混ぜてからブラックペッパーを投入、そしてのりで包んで食べる。

おろしにんにく1杯と豆板醤を2分の1杯いれて・・・

スープに浸したのりで包む!
さっそく試したところ、これは美味い! 非常にジャンク性が高く、ラーメンだけでなくご飯も一緒に注文する方が多いのもうなづける! そしてお待ちかねのラーメンの登場だ。

濃厚かつクリーミーな“壱系”特有のラーメン(650円)
さっそく、箸をつけようとしたところ、マーコ氏から「スープが以前とくらべてしょう油色が強くなったようですが、スープを変えました?」との発言が。
それに対し渡辺店長いわく、「基本的に味は変えていない」とのこと。ただ、店長が変われば少しづつ味も変わっていくそうで、見た目が少し変わったのは、そういうことも一つの要因かもしれないそうだ。
>マーコ氏
味としてはまったく問題ないが、以前の乳化系スープの“白いビジュアル”と“クリーミーさ”が薄くなったのでちょっと残念。それにしても、まさかライスのカスタマイズを推奨した先駆け的店だったとは!」
>編集部・千葉
しょう油味の尖りがなく、こってりまろやかな一杯。チー油が多めに見えるけど、あまり気にならないレベル。それにしてもライスの食べ方が素晴らしい。これは中毒性が高いでしょう!
<今回の採点>
ネ タ 度 :☆☆☆☆☆(星5つ)
既食メニュー:ラーメン(650円)、ライス(100円)
ちなみに同店では家系ラーメン店の中では珍しく、アイスも販売している(各200円)。

上から「バニラ」「チョコレート」「マンゴー」「ストロベリー」の4種類
なんでも寒天とこんにゃく粉を使用しているようで、溶けにくいアイスなんだそう。試しに頂いてみたところ、甘すぎず、ラーメンを食べたあとにさっぱり食べられそう。独特な食感で、あえていうなら「雪見だいふく」を棒状にしたものだろうか。興味があれば食べてみてはいかがだろう。
家系初! 塩ラーメンを初めて提供した「壱八家・本店」
最後に訪れたのは、1996(平成8)年創業、JR東戸塚駅から徒歩5分の住宅街にある「壱八家(いっぱちや)・本店」だ。
同店を運営するのは以前、「復興支援チーム『かながわイレブン』ってどんな活動をしてるの?」の取材でもお世話になった神奈川県横浜を中心に外食店を展開する株式会社エイト(代表取締役・近藤一美氏)。

木目を基調とした壱八家の外観。ちょっとおしゃれ
今回取材にご協力いただいたのは、同社本部の松本氏と「壱八家・本店」の坂本氏。
話を伺ったところによると、同店はもともと焼き鳥店からスタートしたのだそう。先代の近藤真子さんがこの地で焼き鳥店を営んでおり、その後次々と飲食店を立ち上げていく。
その当時、先代が某家系ラーメン店の味に感動し、その店でラーメン作りのノウハウを学んだのだとか。ちなみに「壱八家」の由来は某家系ラーメン店の「壱」と株式会社エイトの「エイト」にちなんだもの。

「壱八家・本店」の坂本氏
こうして1996(平成8)年にめでたく「壱八家」は営業開始し、自分たちの味を追求することになる。
しょうゆだれを変えるなど、試行錯誤のうえ、徐々に味を変えていき現在の味に行きついたそうだ。ちなみに、その味の秘訣は特注の特製バーナーを4本使い、強力な火力でじっくり煮込んだ特製スープ。

じっくり4~5時間、特製の寸胴で煮込む
特製のバーナーを使用。1本あたり10万円もするのだとか。
こうしてできたラーメンがこちら。

ベーシックな「らーめん(並)」(650円)
さっそく実食しようと思っていた矢先、驚愕の事実が! 「実は家系で塩ラーメンを初めてつくったのはウチなんですよ」と坂本店長。聞くところによると、塩ラーメンを始めたのは今から5~6年前。新しいメニューを開発していた際、このメニューが誕生したのだそう。
それならば塩ラーメンもぜひ食べてみなくては!

塩ダレを使用したこってりとんこつの「塩らーめん」(650円)
塩ラーメンの味は多くのお客さんに好評の声をいただき、徐々にその噂は広まっていく! こうした経緯でほかの家系ラーメン店でも塩ラーメンを提供していく店舗が増えていったんだとか。
>マーコ氏
(しょう油味は)動物系のまろやか感の中に確かなしょう油感とチー油感を感じさせる、バランス感抜群の壱八家の味わいですね。塩はスープの主張が前面に出すぎず、しっかり塩ダレの旨みを堪能できる、非常にバランスが取れたハイレベルテイスト。そして、何よりも“家系の塩ラーメンの元祖”というネタが食べられたことにも大満足!
>編集部・千葉
しょう油もいいけど、個人的には塩ラーメンに軍配。なんだかとんこつ風ポタージュを飲んでいるような感じがする。とろりとしたスープがいい感じで麺に絡みますね。
<今回の採点>
ネ タ 度 :☆☆☆☆★(星4つ)
既食メニュー:ラーメン(650円)、塩ラーメン(650円)
取材を終えて
今回は、「介一家・鶴見店」と家系の新たな勢力である“壱系”の「壱六家」「壱八家」の3店舗の情報をお届けしてきた。来週は「IEK(イエケー)48 総選挙」でも登場した“あの店”やそこから独立した店舗の情報を予定している。
はたして今度はどんな情報が飛び出してくるのか!? 来週をお楽しみに!!
―次回に続く―
次回の更新日は10月19日(土)を予定しています。お楽しみに!
介一家・鶴見店
住所/横浜市鶴見区鶴見中央4-20-4
電話番号/045-504-2789
営業時間/11:00~21:00
定休日/無休
壱六家・本店
住所/横浜市磯子区森2-2-7
電話番号/045-754-2323
営業時間/11:00~深夜2:00(火~土曜日)、11:00~22:00(日曜日)
定休日/月曜日、毎月第1日曜日
http://www.ichirokuya.co.jp/
壱八家・本店
住所/横浜市戸塚区品濃町515-1
電話番号/045-821-4747
営業時間/11:00 ~翌01:00
定休日/不定休
http://ippachiya.com/
<取材協力>
神奈川のラーメンを盛り上げよう!会
http://kanagawa-ramen.net/
マーコの辛口ラーメンチェック
http://ma-ko64.com/