「家系ラーメン全店制覇への道」 家系ラーメンのスープをベースに、こだわりぬいたつけ汁で涼を運ぶつけ麺を提供する「極楽汁麺らすた」「魂心家」「味山河」の3店舗をご紹介
横浜市内の「家系ラーメン」店を全店調査するというこの企画。前回はご当地ラーメンの提供もある家系ラーメン店「あじゃあら」「えびす」「ら~めん市場」の3店舗を紹介した。

地元横浜発祥の味! サンマーメン (写真:あじゃあら)
夏の訪れが近いことを感じ始めた今日このごろ、暑い季節に汗を流しながら食べる熱いラーメンは味わい深いものがある。しかし、前回の「家系全店制覇・其の拾五」で浮気心の芽生えたライター千葉(以下:チバコロ)。
その取材先で気になって仕方がなかったメニューがある。
つけ麺だ――
つけ麺とは麺とスープが分かれており、麺を汁につけて食べるざるそばのラーメン版のようなもの。
しかし、単に麺とスープが分離しただけで、通常のラーメンと同じ味なのだろうか? 素朴な疑問をマーコ氏にぶつけてみた。
すると、つけ麺には専用の味が用意されており、既存のスープにアレンジを加えた店がほとんどだという。アレンジは魚介や辛味など店舗によって異なり、家系ラーメン店ならではのつけ麺が食べられるとのこと。
家系を語る上でその味の違いも知っておいて損はない、とマーコ氏にそのまま連行されてしまった・・・。
そこで今回は、つけ麺の提供もある家系ラーメン店を紹介しようと思う。
ベールに包まれた魅惑の一杯
最初に訪れたのは、東急東横線日吉駅前からまっすぐ伸びる日吉中央通り商店街を、2分ほど歩いたところにある「極楽汁麺(ごくらくしるめん)らすた」。

オープンから18年、日吉で不動の地位を誇る人気店
現在の店長である香山浩二(かやまこうじ)さんは、かつて同店をこよなく愛する常連客のひとりだったそうだ。

店長歴10年目の香山さん
愛され続ける秘訣は、1996(平成8)年に同店を立ち上げた初代店主、鈴木武也(すずきたけや)氏のこだわりにあるという。ただ、鈴木氏の修行先などは明らかになっておらず、謎のベールに包まれた部分も多いのだそう。
店名の由来も諸説あるといい、「らーめん・すずき・たけや」の頭文字をつなげて「らすた」というのが、最も有力な説だそうだ。

味の深みを左右するガラは、厳選されたトリ、背骨、ゲンコツを使用
麺も鈴木氏ならではのこだわりを全て注いだ「染谷製麺」の特注極太麺。

黄色味の強い麺色と極太さが特徴的

お客の要望から始めた、同店ならではの細麺による替玉システムもある!
こだわりぬかれた謎多き究極の一杯が、こちら。

一番人気の「らすた麺(850円)」

通常はのりがふやけてしまわぬよう、このスタイルで着丼
ラーメンに使用されるスープに豆板醤(とうばんじゃん)やお酢などを加え、さっぱりとしながらも辛さを堪能できる味に仕上げた「つけ麺(700円)」は、ピリッとした辛さが刺激的。

つけ麺もお客の要望から提供を開始したそうだ
麺の量はラーメンの大盛りに相当するという。また、最後に水で締めると硬くなるため、茹で時間はラーメンよりも3分ほど長め。

極太麺に思わず興奮!
今回も、もちろんやります! 家系マイスターであるマーコ氏に、ラーメンの味のみを対象とした5段階評価をボードで表してもらい、その場で発表してもらうというこの企画。
今回はいくつの★が輝くのか!?

初代店主のこだわりは、マーコ氏の味覚に何を訴えたのか!?

かつて通いつめたほど好きな味! 店長の予想は「辛口らしいので★3つにしておきます」

いよいよ結果が発表される・・・
過去最高得点★3.5を塗り替えることはできるのか!?

なんと同率1位の座! ★3.5を獲得!!
日本各地のラーメン店の売上げを軒並み上げまくり、日本で5本の指に入る敏腕ラーメンコンサルタントであるマーコ氏。
商品力はもちろん、外観力、店主力など店の総合力を上げるため店主に告げたアドバイスの一部を「マーコの本気コンサルチェック」として紹介しよう。
~マーコの本気コンサルチェック~
1. 集客に非常に大きな力を発揮する正面看板がかなり老築化しており、良い意味での古さならともかく、そうでないためそろそろリニューアルするべし。
2. そこまで大きく集客に関わらないが店員のタオルの色がそれぞれ異なるため、「雰囲気も味」の一つであるので統一するべし。
たっぷりなトッピングやねぎ飯(100円)、替え玉などのオリジナル力も魅力の同店。

のりの多さにテンションアップのチバコロ
お客の声を積極的に取り入れてきた柔軟なスタイルも、激戦区で勝ち抜いてきた秘策のようだ。
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:「らすたといえば麺」と異名を持つだけあり、らすた特有の極太麺が歯を存分に楽しませてくれる。
ただ、スープは醤油ダレに丸みがあるせいなのか、思った以上にガツンとしたものは弱い。つけ麺に関しては、ラーメンの完成度と比べると正直なところ相当低い戦闘力なので、ビジュアル&味どちらも改善は必須である」。
チバコロ:一杯目のライス無料、替え玉、そしてあのトッピングは学生の多い街にぴったりのサービス。麺はもっちりとした食感で歯ごたえが楽しく、バランスがいいラーメンのスープと相性はバッチリ。
それだけに、つけ麺の豆板醤の辛さに頼りすぎな部分が残念に感じてしまう。
マーコ氏も予想だにしなかったハプニングが!?
次に訪れたのは横浜市営地下鉄あざみ野駅から徒歩2分にある「魂心家(こんしんや)あざみ野店」。

なんと横浜のみならず、6都府県に店舗を展開
同店の創業者であり、代表取締役を勤める店主の鴨田誓一(かもだせいいち)さんは、学生時代から朝夕問わず毎日食べ続けるほど、ラーメンが大好きだそうだ。

めったにメディアに露出しないという鴨田さん。貴重な一枚!
いつしか「国民の8割が好む味」を探求するようになり、食べ歩く中で出会った「壱六家」に答えを見つけ弟子入りを志願。当時売り上げが伸び悩んでいた本厚木の店舗を建て直し、「壱七家」として再出発を迎えたとのこと。
オリジナルの味を追求した店を出したいとの思いから2012(平成24)年に「魂心家」を立ち上げたそうだ。

「魂を込めて作る。心からの接客。家系最強の旨さ」が店名の由来
「スープは水の味で変わる」という店主の考えに基づき、店舗ごとにその土地の水に合わせた調合を行っているという。麺も地域のニーズに合わせて製麺所を変えるという徹底ぶり。ここあざみ野店では「大橋製麺」の平打ちストレートを使用している。

他県で使用している麺もキニナル
どこの店舗でも同じ味を提供するという同店の一杯は、クリーミーなスープが特徴だ。

水は違えど味は同じ「ラーメン(680円)」

横浜エリアならではの麺を味わう
3種類から選べるつけ麺も、それぞれに店主のこだわりが見て取れる。

ラーメンとはまた違った雰囲気を楽しめる「家系つけ麺(730円)」

魚介の風味をプラスした「魂心つけ麺(780円)」
そして、究極の辛さがくせになるという「旨辛つけ麺(830円)」だ。

マーコ氏も悶絶の辛さ!

口の中をリセットして・・・
★評価へと参ろうか。

いろいろ食したが、評価の対象は通常のラーメン

店主の予想は★3.5
堂々の評価予想をした店主の姿に、多岐に展開する同店を引っ張っているだけある力強さを感じる。
さあ、結果のほどは!? いざ、発表!!

評価はこちら! ボードを見て言葉を失うふたり・・・

一歩及ばず★3つという結果に
~マーコの本気コンサルチェック~
1.スープがクリーミー過ぎるため、中毒性を付ける上で一番重要なしょう油のとんがり感が弱い。もっとしょう油感のあるタレに改良すべし。
2.食券機のボタン数(メニュー数)を多く使い過ぎてグチャグチャ感が出てしまっているため、新規客にとっては非常に選びにくい食券機となっている。客単価に繋がることなので改善すべし。
実はこの日、もう一杯用意されたつけ麺がある。「魂心つけ麺」の新バージョンだ。
現在新メニューを思索している最中だそうで、「マーコ氏にアドバイスをもらいたい」と試作品を用意していたのだ!

快く引き受けたマーコ氏。一瞬で家系マイスターの目つきへと変わり、厳しくチェック
マーコ氏のアドバイスを参考に、更なる改良を加えたという新バージョンは6月上旬に「家系つけ麺」と入れ替えで提供を開始するそうなので、興味のある方はぜひ実食してみてほしい。
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:壱系らしいクリーミー系スープだが、クリーミー感の主張が強すぎる半面しょう油感が弱すぎるので、もっとしょう油感がほしいところだ。
また、つけ麺に関してはありきたりのとんこつ魚介系だが、一般消費者の需要には充分応えられるつけ麺であり、あえて安全パイを選択してくるところが作り手の商売センスを感じ取れる。
チバコロ:クリーミーなスープは修行元の名残をほどよく残しており、オリジナル性の中にも安定感は感じられる。
ラーメン、つけ麺ともに味わいやすい口当たり。
招き猫の見守る店舗でまさかの事態がまた起こる!?
最後に訪れたのは、相鉄線鶴ヶ峰駅前の商店街に軒を連ねる「味山河(みさんが)」。

鶴ヶ峰北口に家系ラーメン初進出!
家系ラーメン店では珍しい女性店主の岡野ちか子さんは、主婦からの一念発起で同店を立ち上げた敏腕店主。知人の紹介で横須賀の「平松屋」(現在閉店)へ弟子入りし、この場所で支店を経営しながら修行を積んだそう。

柔らかな物腰からは想像できないバイタリティをもつ岡野さん
修行を始めて1年後、自分たちの味を提供したいとの思いから一緒に働いていた仲間とともに独立を決意。数多くのラーメン店で修行経験のあるスタッフを筆頭にオリジナルの味を突き詰め、2011(平成23)年に同店をオープンさせた。

「食べた人の願いが叶うように」とつけられた店名

店内では守り神の「ルナちゃん」が、皆の願いに耳を傾けている
主婦の目線とチームワークで完成したラーメンに使われているしょう油とチー油は、完全オリジナル。麺もスープに合わせて一新し「宝産業(たからさんぎょう)」の中太ストレートを使用している。

もやしがアクセントの「とんこつラーメン(670円)」

家系では珍しい「宝産業」

「ここの麺はソフトな触感が特徴なんですよ」
魚介系とんこつのつけ麺も、スタッフ皆で実食を繰り返しながら、相談して創り上げたそう。

岩のりの磯風味が食欲をそそる「つけ麺(850円)」
家系の枠に囚われることなく、美味しさだけを追求した味に下る評価はいかに!?

黙々と★をぬるマーコ氏

不安そうに見守る店主。「家系をなぞっていないから低いかもしれませんね」
結果はいかに!?

また出てしまった鬼の評価! ★1.5の理由とは?
~マーコの本気コンサルチェック~
1. 中毒性を作る上で根幹にあるものとは「まろやか」+「とんがり」の2つであるが、味全体が丸すぎてしまっているため、とんがった部分を作るべし。
2. 店舗全体の作り(味・ビジュアル・外観など)が中途半端感は否めない。駅周辺には家系店がないため、家系ラーメンというブランドをとことんアピールしたほうが売上はさらに伸びるであろう。
3.少々店内が殺風景なため、もっと店内にお祭り感を作るべし。差し当たり、カウンターの端から端まで赤いカウンター暖簾を付けるべし。
するとここで評価を受けた店主から、驚きの発言が・・・。
「家系ラーメン店での修行経験がないので、是非教えていただきたいことがあるんです!」
ラーメンの味についてはもちろん、トッピングの種類や盛り方、器の色に至るまで指南を請う店主。

惜し気もなくアドバイスを続けるマーコ氏
マーコ氏のラーメンコンサルタントとしての一面を再び垣間見ることとなった。
余談ではあるが、前出の守り神ルナちゃんには、願いを叶える力があるらしい。このお店で知り合って結婚に至ったお客もいるそうだ!

何をお願いしたかは ひ・み・つ
そんな口コミからか女性一人での来店も多いそうで、願いが叶ったという嬉しい報告もちらほら。
そんなコミュニケーションも接客業の楽しさだと話してくれた。
~マーコ&チバコロの総評~
マーコ氏:上記でも触れたように、ラーメンは味全体のパンチが皆無に等しい。しょう油ダレを濃くすれば済む問題ではなく、おそらくしょう油ダレそのものが「丸いモノ」となってしまっているため、しょう油ダレの改善は必須であろう。また、つけ麺に関しては、つけ汁の第一の役割は「麺をいかに瞬時に絡ませること」なので、つけ汁の味をもっと濃くすることはこれまた必須である。
チバコロ:まろやかな口当たりととんこつ臭のないスープで飲みやすいが、食べ進めると若干しょう油感が浮いて独特の風合いとなり、引っかかる味に感じてしまった。ラーメンにはもう少し家系らしいコクがほしいところ。
つけ麺は魚介の風味が控えめで、好みの分かれるところかも。
取材を終えて
ラーメンと同様、店主のこだわりがしっかりと反映された家系ラーメン店のつけ麺。今までラーメン以外のメニューには目もくれなかったが、その店の新たな魅力やこだわりを知るには、ほかのメニューを味わうのも悪くないと、浮気心を正当化したチバコロであった・・・。
日毎に上がる気温に合わせ、つけ麺で涼を感じてみてはいかがだろうか?
― 全店制覇まで 残り 53 店舗 ―
※上記軒数は現段階で調査できた店舗数となります。開店・閉店・発見により軒数が変動する場合があります。
先日5月11日(日)付けの読売新聞朝刊・連載企画「家系ラーメン5」で、同企画とマーコ氏が紹介されたが、見ていただけただろうか?
まだの方は是非こちらから。
マーコ氏のコンサル力をまざまざと見せ付けられた今回の取材。イレギュラーの事態続きで予定していた弟子入りテストが延期となったが、ラーメンコンサルタントとしての一面を存分に拝見することができ、弟子入りに向けた勉強にはもってこいであった。
―次回は「看板メニューに驚愕の〇〇が・・・」です。お楽しみに―
―次回に続く―
次回の更新日は2014年6月3日(火)を予定しています。お楽しみに!
<取材協力>
神奈川のラーメンを盛り上げよう!会
http://kanagawa-ramen.net/
マーコの辛口ラーメンチェック
http://ma-ko64.com/
極楽汁麺らすた
所在地/横浜市港北区日吉本町1-5-41坂口屋日吉ビル1階
電話/045-565-1608
営業時間/11:30~翌1:00
定休日/不定休
魂心家 あざみ野店
所在地/横浜市青葉区新石川1-8あざみ野イースタンビル1階
電話/045-532-5222
営業時/11:00~翌3:00
定休日/無休
味山河 鶴ヶ峰本店
所在地/横浜市旭区鶴ヶ峰1-12-3
営業時間/11:00~翌3:00
定休日/無休