テーマを設定し、ピンポイントで深く家系ラーメンを取材する企画。今回のテーマは「家系“直系風”の味を追求する店」。中区長者町の「勝鬨家」と磯子区上中里町の「王道」をご紹介。
グダグダである。何かって? それは、はまれぽの家系ラーメン記事のこと。家系ラーメン全店制覇? 家系ラーメンの家系図を作る? 賢明なる読者ならご存じのはずだ。中途半端なまま放置されているということを。誠にもって面目次第もございません。
とはいえ、我々の家系ラーメンへの愛は変わらない。ここで一旦仕切り直し、取材方針を考えてみたい。

現状での「家系家系図」。放置プレイ中
いわゆる有名店はすでに取材済みであることが多く、これから紹介させていただく店舗は、比較的新しくかつ「オリジナル系」が多くなることが予想される。「家系図」を埋めようと取材前にリサーチしても分からないことも多いだろう。
また、「全店制覇」については、企画を始めたころと今では「全店」の数が違うし、「家系」ということだけでやみくもに店舗を紹介しても意味がないのではないか?
このことふまえてとして取材方針は以下の通りとする。
取材方針
(1) 取材時には「修行先」をお聞きする。答えてくれるかは店舗次第。結果として「家系図」に入れるべき店舗が見つかればなおよし。
(2) 適切な「テーマ」を設定し取材先の店舗を選定することで、ピンポイントかつ深く家系ラーメンの世界に迫る。
それでは本稿の登場人物を紹介する。記事中の味に関する情報を判断する際の指標になれば幸いだ。
マーコ氏
みなさんご存じ、実食店舗数6000件以上のラーメンコンサルタント。基本的に辛口評価だが、家系をはじめとしたラーメンへの愛は本物。
編・広瀬
家系デビューは2016(平成28)年3月の吉村家。同年、はまれぽ主催の「横浜家系ラーメン祭2016」にて、ほかにも家系ラーメンがあることを知る。家系初心者。
編・大日方
かつてはお気に入りの家系ラーメン(都内某店)に通い詰めるも、加齢により食欲は減退気味。「家系にはライス!」派。
ということで、今回のテーマは「家系“直系風”の味を追求する店」。前置きが長くなってしまったが「勝鬨家」と「王道」の2店舗を紹介していこう。
ロックな店主が目指す直系の味「勝鬨家」
横浜市営地下鉄ブルーライン伊勢佐木長者町駅より徒歩5分ほど。大通り沿いのビルの1階にあるのが「勝鬨家(かちどきや)」だ。オープンしたのは2016(平成28)年8月15日。

伊勢佐木長者町駅よりまっすぐ歩いて「勝鬨家」に到着

店頭には大橋製麺の麺箱が。火・水曜日はライス無料で丼物とカレーが100円

店内にはカウンター10席とテーブル席がある
さっそく店主にお話を伺う。まずはお名前と修行先をお聞きしたかったのだが、「作り手は謎の存在であったほうがいいと思うんだよね」と前置きしたうえで「名前は『横浜市在住のX氏(38歳)』としておいてください」とのこと。また、修行先についても答えてはもらえなかった。
家系との出会いは「古くからの某有名店のファンで30年くらい通い続けている。お店を出したのも、ずっとラーメンが好きで、家系が好きだったから」とのことだった。ちなみにこの地に出店したのは、かつて近くの高校に通っており、どんな場所かよく知っていたため。

素顔も当然NGの「横浜市在住X氏(38歳)」と話を聞くマーコ氏
お店を始めるまではバンドマンを生業とし、ギターとボーカルを担当。ロックバンドのつもりだったが周りからは「パンク」と言われていたそうだ(取材時、店内のBGMは「ラモーンズ」だった)。
何となく「X氏は強面だな」と思っていたところ、「飲食店用の白いユニフォーム着ていたら特攻服と間違えられたことがあったんだよね」との発言が。スタッフが黒いTシャツ姿である理由がここに明かされる! さすがロックである。
味についてのこだわりを聞くと、ずばり「直系の味を目指している」とのことだった。麺は大橋製麺の特注品を使用。スープは「生ガラ」を使っており、味がブレないように細心の注意を払っているそうだ。

券売機。メニューはかなり豊富だ

トッピングなども“名店”の味に挑戦しているらしい
「勝鬨家」のメニューは、家系ラーメン店としてはかなり豊富だといえる。基本となる豚骨しょうゆベースのラーメンのほか、みそ、塩ベースのラーメン、つけ麺などもある。店主によると「メニューは試作して、食べてみておいしければお店で出します。なんでもありだと思っているし、縛られるのが嫌いなんですよね」とのこと。
それでは、そのこだわりのラーメンをさっそくいただくとする。
“戦闘力が高い一杯”を実食
今回は基本のメニューともいえる「ラーメン並(680円)」をお願いした。あわせて、お店のオススメとして「名店まぶし(250円)」も用意してもらうことに。

厨房内には豚骨がドーン。黒いTシャツが決まっている

着丼。「ラーメン並」の美しいいでたち

ズームアップ
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麺リフトアップ
「ラーメン並」が着丼。待ってました! と言わんばかりに食べ始める取材班の面々。ラーメンを啜(すす)りつつ、それぞれが感想を語った。
編・大日方:なかなかパンチがありますよね。しょうゆ感が強いけど、ぐいぐい啜れる感じです。
マーコ氏:食べた瞬間、「えっ、これは直系か!?」と錯覚させるほどしょうゆ感たっぷりのスープですね。あと、中太麺がそのスープによく絡んでます。
編・広瀬:あと味にしょうゆがしっかりと感じられます。鶏油(チーユ)がたっぷりなんですけど、海苔でライスを食べること(後述)を考えるとそれも嬉しいかも。
マーコ氏:少し鶏油(チーユ)が多い気がしますが、そこを差し引いても戦闘力が高い味ということは揺るがない一杯ですね。

肉肉しげな「名店まぶし」。

夢中でラーメンを啜る広瀬と、「名店まぶし」を喰らうマーコ氏
実食を終え、店主に今後の夢について伺うと、「夢はお金持ちになることっすね(笑)」と、きっぱりとロックな感じで直球が返ってきた。いいね!

「勝鬨家」の前にて店主と共にパチリ
・鶏油(チーユ)の量 ★★★★★
・しょうゆ感 ★★★★
・豚骨感 ★★
・麺 大橋製麺(特注品)
(★=5つが最大)
・ライス 小(50円)、中(100円)、大(150円)
※火・水曜日はライス無料
超ベテラン家系ラーメン職人が作る“直系直伝”の味「王道」
JR根岸線洋光台駅よりバスで約10分。「上中里郵便局前」バス停で下車するとすぐに見えるのが「王道」だ。オープンしたのは2015(平成27)年11月。

家系ラーメンとしてはかなり大きな店舗

広いエントランスと、これまた広い駐車場

新聞、雑誌も充実

広くて、きれいな店内。席はカウンター14席、テーブル16席
吉村家に惚れ込んで
店主のお名前は鶴巻孝平(つるまき・こうへい)さん。家系の総本山・吉村家で2年間修行したのち、吉村家の直系店である環2家で16年間店長をつとめた、超ベテランの家系ラーメン職人だ。
修行時代について尋ねると「最初はきつかったですね。ふざけるな! と思ったことももちろんあります(笑)。親父(吉村家創始者・吉村実<よしむら・みのる>さん)は怖いし・・・でも、親父のことが大好きで、本当に惚れ込んでいました」と嬉しそうに話してくれた。
「念願だった自分の店を出すことになって、環2家で働いていた時の後輩が自分より先に『王道家』という店を出店していたので、協力してやっていくことにしました。それで店名を「王道」にしたんです」とのこと。
と、ここでフラグが立ちました。「家系家系図」入りです!!

「家系家系図」にお店の名前を記入していただいた

家系図と一緒にパチリ

「王道」の名前が家系図に刻まれた ※クリックで拡大
この場所に出店した経緯を伺うと「ほんと、たまたまいい場所を見つけた感じです。駐車場を用意できるのも大きかったですね。ファミリー客が多いし、年齢層も幅広いので客層を意識して味を作ってきました」とのことだった。
味についてのこだわりをお伺いすると「直系店の味を守りつつもカスタマイズしていきたい」ときっぱり。麺は自家製麺(王道家の麺)を使用している。あと、吉村家では麺の湯切りの際「平ざる」を使っていたが、この店では「振りざる」を使っているとのこと。「湯切りひとつで味がぶれてしまうし、平ざるは扱いが難しく技術を習得するのに何年もかかる。オペレーションをシンプルにすることも大切」との言葉が印象的だった。

券売機を見てほくそ笑むマーコ氏。トッピング安すぎ・・・
「王道」のメニューには、ラーメンのほか、チャーシュー麺、つけ麺があり、サイドメニューとして餃子やチャーシュー丼、たまご丼などがある。
特筆すべきメニューとして「素ラーメン」をぜひ紹介しておきたい。文字通りラーメンとスープのみで、具材は一切乗っていないメニューだ。生み出された背景としては、「学生さんに気軽に食べてほしい」との店主の願いから提供されているメニューとのことだ。
それでは、そのこだわりのラーメンをさっそくいただくとする。
“親しみやすくバランスが取れた一杯”を実食
同店の基本のメニューともいえる「ラーメン(670円)」をお願いした。あわせて、非常にキニナル「素ラーメン(500円)」も用意してもらうことに。

丼を温めています(左)。カメラ目線ありがとうございます!

ラーメンを仕上げていく

着丼。具材の絶妙なバランスが美しい

麺リフトアップ

「素ラーメン」とともに
「ラーメン」と「素ラーメン」が着丼。2つのラーメンを並べてみると、あまりの違いに思わず笑ってしまう。まずは「ラーメン」を啜りつつ、取材班のそれぞれが感想を語った。
マーコ氏:王道家系列店ということで、あの良い意味での「狂暴な味」を想像していたんだけど、このラーメンはとてもバランスがとれたタイプに大変身していて驚愕の一言です。
編・大日方:店主によるとファミリー客が多い店舗ということで、ニーズを汲み取っていったのですかね? 味はお客さんの反応を見ながらカスタマイズしてきたとのことでしたし。
編・広瀬:家系初心者の私にとっては、親しみやすい味で、さらにさまざまなトッピングメニューがあるので、何度も来店していろいろなトッピング試したいと思いました。

「素ラーメン」を食べる広瀬。ラーメンには大きなチャーシューが
マーコ氏:あと、ありそうでなかった家系の「素ラーメン」。日本でここにしかないんじゃないかな? でも、具材がない分"純家系スープ"が楽しめる一杯といえると思います。
編・広瀬:味の話じゃないんですけど、店内が広く、ファミリー用にゆったり4人がけのボックス席があるのもいいですね。老若男女問わず、来店しやすそうだと思いました。
実食を終え、店主に今後の夢をお伺いすると、「王道家系列店を増やしていきたい」とのこと。「直系直伝」味を受け継いだ若者たちが各地で活躍していくことを期待したい。

カウンターをバックに鶴巻さんをパチリ
・鶏油(チーユ)の量 ★★★
・しょうゆ感 ★★★
・豚骨感 ★★★
・製 自家製麺(王道家の麺)
・ライス 並(100円)、大(150円)
(★=5つが最大)
家系ラーメンにおける「ライス」とは
家系ラーメンと言えば、デフォルトで“海苔3枚”がトッピングされているのが定番だ。その海苔と一緒にライスを食べることを楽しみにしている方も多いだろう。
「家系と言えばライスと一緒に食べて始めて完成形」とマーコ氏は力説する。編・大日方もその点には激しく同意しており、ぜひ本稿にて、ライスの食べ方についてまとめておきたいと意見が一致した。
まずは基本形から。

海苔をスープに浸して・・・

ライスに巻き・・・

喰らう喜び! 思わずマーコ氏もほくそ笑むうまさだ
ライスの量についても考えてみたい。デフォルトの「海苔3枚」を使ってライスを食べる場合、海苔とライスとの比率を考えると半ライスがちょうどいい量ではないだろうか。
もっと食べたい場合には、「海苔増し」トッピングという手もある。この場合はライス(並)もしくはライス(大)が適量ではないだろうか? 悩みは尽きないのである。
次はアレンジメニューについて考察したい。ここで、お店の卓上に置かれた調味料の存在が俄然クローズアップされてくる。つまり、調味料をライスにトッピングして海苔を巻いて食べるというわけだ。

お店にもよるが、どの店にも複数の調味料が置かれていることが多い

コショウ、ニンニク、豆板醤を乗せて・・・

ラーメンのスープに浸した海苔を巻いて食べる! 「ニンニク豆板醤ライス」
さらには、ラーメンのトッピングをライスに乗せてしまうという手もある。

トッピングの「細切りねぎ」を乗せて、海苔で巻く「ねぎ巻きライス」
今回初めて家系ラーメンの海苔と一緒にライスを食べた編・広瀬の感想は、「海苔をスープにどっぷりと浸してごはんと一緒に食べるのは超オススメです! 感動しました! はまりました! 一人でお店に行ってしまいそうです!」とのことだった。
家系ラーメンと海苔、ライスが奏でるマリアージュ。読者の方々におかれましては「こんな方法で食べるとうまい!」というオススメがあったら、是非コメント欄にてお知らせ願いたい。
蛇足だが、編・大日方の悩みは、加齢による食欲減退。ラーメンを一杯食べるだけでお腹いっぱいなのに、家系に行くとどうしてもライスが食べたくなる。結果、半ライスを注文。→毎回食べ切ることに苦労し後悔する。という負のスパイラルが続いている。夢はラーメン(小)+半ライスだが、男性向けにラーメン(小)を出してくれるお店ってないんですかね・・・
取材を終えて
今回は「家系“直系風”の味を追求」する2店舗を紹介してきたわけだが、両店とも直系に勝るとも劣らない強烈なこだわりがあり、味も独自に進化させていた。次回は、開店10年以上の“プチ老舗”を紹介する予定だ!
―終わり―
取材協力
勝鬨家
住所/横浜市中区長者町2-5-4
電話/045-228-7401
営業時間/月~金11:00~翌3:00、土・日11:00~20:00
定休日/無休
王道
住所/横浜市磯子区上中里町669-1
電話/045-353-9549
営業時間/11:00~21:00
定休日/月曜日